再会 2
「戻んなきゃ、もう」
そう言って私に近寄る直人からはなんだかいい匂いがする。
「忙しいですもんね。行ってください」
「うん。また」
「あ!直人さん!香水なに使ってます?何かすごくいい匂い…」
思わずそう聞くと直人はキョトンとした顔で、急いでいるというのに鞄の中から小瓶を出してそれを私に差し出したんだ。
「あげるよ、それ!よかったら使って?」
「え、でも、これ直人さんの…」
「いいから、いいから!」
そう言った直人は、その場でそれを自分の腕にふりかけると、それを私の首にスッとつけたんだ。
ドキンと胸が高鳴る。
サングラス姿の直人はニコッと笑うと「同じ香りだね、オレら」…そんなことを平気で言うんだ。
「直人さん、遊び人ですよ、たっくんと同じ臭いがする…」
恥ずかしいからそんな風に言ったけど、内心すげぇバクバクしてて。
そんな私を見て嫌な顔をする直人。
「オレあんなちゃらくないっしょ!?」
「いやぁ…」
「ちょっと!」
「半分冗談で、半分本当です!」
「もう!今度その考え方変えさせてやりてぇ。あ、オレらのlive見に来てよ、今度!超かっこいいから」
「あは!やっぱり直人さん自分大好きだぁ!あっは、面白い」
思わず笑うと、直人も笑顔になって。
ふわりと笑うその顔がすごく好きだなって思ってしまう。
「よかった、笑ってくれて」
さっきまでのふざけた顔じゃなくて。
「え?」
「笑顔奪っちゃったから」
なにが?
だってあれは直人のせいでもたっくんが悪いわけでもない。
それなのに。
サングラスを外して視線を私にくれる直人。
「直人さん…」
「ずっと気になってて。守ってあげられなくてごめんね」
…泣きそう。
首を横に振るだけで何も言えなかった。