宝物 2
「待って待って待って待って!!!」
ワインバーとやらで待ち合わせをしているみたいで、エレベーターはどんどん上にあがっていく。
東京の夜景が見えて正直とても奇麗。
奇麗だけれど、私の心臓すら口から吐けそうで…
「ぎぼぢわるい…」
「…緊張しすぎっつーの!俺がいるのに全くさぁ〜」
呆れたように私を見るけど…
「直人さんズルイ!メンバーでいつも一緒にいるからって。私はLIVEでしかあったことないんだから!あでも、前立ち位置てっちゃんで、結構長いこと手振ってくれたんだっけなぁ〜」
思わずアリーナ席に入ったそのLIVEを思い出して顔がニヤけた。
その瞬間、直人の視線がグワっと私をとらえて…
「うおおおおいいっ!!ど〜いうこっちゃ?!」
ズンっと壁に押し付けられたんだ。
そのまま真剣な顔で近付いて、前触れも予告もなく普通にキスをされた。
途端におとなしくなった私はそのまま目を閉じてしばし直人の温もりを感じる。
ちーんって音が鳴った瞬間、直人が私の中から出ていってニコっと笑った。
「…直人さんかっこいい…」
「知ってる!」
「もっとしたかったな…キス…」
私がそう言うと、一重を少し大きめに見開いて「このやろう!」そう笑ってデコピンをされた。
「それ以上言うと俺の理性吹っ飛ぶからダ〜メ!ほら行くよ」
そう言ってスッと私の前に温かい手を差し出した。
えへへってその手に抱きつくと、肩越しに直人が私を見て「可愛い…」小さく呟いたんだ。
それだけでお腹いっぱいで。
目の前にいるであろうウサとてっちゃんを一瞬忘れそうになった。
なっただけで実際忘れるなんてことはない。
個室のドアを開けて中に入ると、興味津々って顔のウサとてっちゃんがお出ました。
「すいません遅れて」
丁寧に直人が頭を下げると二人とも優しく微笑んでいて。
最高潮心拍数が上昇する。
「…か、かっこいい…EXILEだ本物の…」
ついうっかり口にしてしまったその言葉に、直人は勿論、ウサもてっちゃんも目を点にして私を見て…それから次の瞬間爆笑の渦が舞い上がったんだ。