最高のプレゼント




「………」


…―――――ええっ!?



「直人さん?何故泣いてるの?」



片岡邸のソファーの上、寛いで妄想話をしていた私たち。

ふと、隣を見るとグズって鼻を啜って真っ赤な目で私を見ている直人。

EXILEのパフォーマーNAOTO。

さっきまで自分がかっこ悪いって怒っていたのに、今ここにいる直人は私のお誕生日妄想ストーリーに感動したのか?大人げなく泣いていて。


「直人さ〜ん、かっこいい顔が台無しだよ〜」

「ゆきみが悪い…」


そう言うなり直人の腕が伸びてきて、ソファーに座る私を後ろからギュウっと抱き締めた。

すぐに髪に顔を埋めて更に強く抱きすくめる…



「どうしたの、直…ちゃん」

「俺連ドラ見てんのかと思った…。ゆきみってそういう才能あるんじゃねぇ?」

「えへへ。褒めてくれるんだ、ありがとう」

「いやマジで。何かてっちゃんすげぇかっこよくて、やっぱり最後まで俺が必至だったけど…」


そこまで言うと直人はいったん言葉を止めて私を離した。

大勢を変えてソファーの上で見つめ合う私たち。

大事なことを言われる…そんな気がした。



「よく見てんだなお前、俺らのこと…それに感動したっつーか…うん」


…私の妄想話に付き合ってくれた直人は、私が思う勝手なイメージの自分たちが、きっと直人の中でも間違ってはいなかったんだって。


「ほんと?嬉しいなぁ〜」

「何か実際てっちゃんにゆきみを貰った気分だわ俺!」

「あはは。てっちゃんを選ばなくて後悔しちゃうのか、私…」

「それはさせねぇ!絶対ぇさせねぇ!!」


そう言う直人も、劇中と同じ熱い想いを常に私に届けてくれる人で。


「直人を選んだことを後悔したことは一度もないよ。これから先もその気持ちは変わらないよ…」

「ゆきみ…」

「一般人の直人さんやてっちゃんも魅力的だし興味があるけど、EXILEとしての直人さんじゃないと、私はきっとここにいない。だからこの道を選んで進んでいる直人が私は一番好き。今ここにいる片岡直人が世界で一番好き」


直人の髪を優しく撫ぜると、そっと目を閉じてその温もりを感じている直人。

好きな人に想いを伝えることはとても大切なこと。

それを素直に言葉にできる環境にいる自分たちをとても嬉しく思うと同時に、感謝すらうまれる。

EXILE NAOTOに「大好き」と伝えられる人がこの世にどれほどいるのかって。

その想いが強ければ強いほどに…片岡直人に「愛している」と伝える術は少なくて。

勿論直人は一ファンの方からの愛を無碍にするなんてことはしない。

けれど、今こうして私と一緒にいるって現実が…これから先の片岡直人を愛し抜くという意味なんじゃないだろうかって。

どんなことがあっても、絶対に直人を信じている。

どんなことがあっても、直人への愛は消えない…


「俺も、今ここにいるゆきみが好きだよ…いや、愛してる…」


そうやって私を満たしてくれる直人。

直人に出逢えたことが、私が生きる意味だって本気で思えるんだ。

――――ゆっくりと直人の顔が近付いてきて、小さく唇に触れる。

頬に手を添えて至近距離でいったん離れた唇は、熱を帯びてまた強く甘く触れ合う…

勢いのまま、想いのまま、ソファーに倒れこんだ瞬間、ポロンっと直人の携帯が音を立てた。

立て続けに何度も…

時計の針は0時ちょうどを差していて。


「直人さん、お誕生日おめでとう!最高のプレゼント…いかがですか?」


そう笑った私に「丁重に扱わねぇとな!」そう笑って私を抱きあげてベッドに連れていった。

私たちの幸せな1日のはじまりはじまり…





*END*

- 96 -

prev / next

[TOP]