激怒ぷんぷんまる
「ちょ、ちょっと待って!!!何かおかしくない!?俺かっこよくなくない!?何か俺、ゆきみ取りたいのに必死じゃねぇ!?」
直人の家のソファーの上。
誕生日の過ごし方についての妄想話を途中で遮られて私はブウ〜っと直人を見つめた。
先ほど、てっちゃんVS直人に決まって、話を進める私の腕を掴んで物凄い形相を見せる直人。
ここにいるのはEXILEを背負った片岡直人で。
「ちょっと直人さん、これから盛り上がるのに、なぁに?」
「いやいやいやいや!余裕のてっちゃんはまぁいいとして、俺…そんなに余裕ない感じなの?」
苦笑いを浮かべて私に迫る直人。
透き通った肌が奇麗で思わず触りたくなってしまう。
ピトってその本能のままに直人の肌に触れると一瞬「え?」って顔で私を見て…「触りたくなっちゃった」そう言うとほんの少し口端を緩めた。
でもすぐにハッとした顔でキリっと視線を絡ませると…
「騙されないぞ!そもそもどっちでもいいって何よ!?ゆきみの心の奥底にいるの俺でしょ?」
どうやら本当の不満はソコだったらしい…
ソファーに置いてあるクマのぬいぐるみを手に「激怒ぷんぷんまる!」なんて言って頬をプウっと膨らませているんだ。
「だって元々直人くんが好きだったらつまんないじゃん!大どんでん返ししてこその…ねぇ〜」
「………」
黙り込んでしまう直人をよそに、私はこの前ウサに貰った直人のワインを一口飲んだ。
「おいし。ウサのお陰でワイン飲めるようになっちゃたな〜私…」
ジロって…そんな音が聞こえそうなくらい直人に睨まれて…
「ウサさんのお陰じゃなくて、俺のお陰!俺がゆきみに飲ませてやったの!俺が!」
あくまで自分を強調する直人が正直めちゃくちゃ可愛い。
この世のものとは思えないほど可愛い。
だからそんな直人の自己満に付き合う私。
「うん、分かってる〜」
そう言って首に腕をかけて直人に抱きついた。
心なしかいつもなら引き寄せてギュウってしてくれるのに、今日はその力が足りない気がして。
仕方なく私からチュっと顎にキスをする。
つぶらな瞳がグルリと回って私を見つめて…
「まぁ、いい。とりあえず、続きを聞こうじゃねぇか!」
そう言って私をやっと引き寄せると、待っていたその舌を私の中にニュルリと入れた…―――――