揺れる女 2
三人でワインバー…考えただけでドキドキで。
チラッと直人くんを見ると不満顔一つしないでニコニコで。
やっぱりその笑顔に胸がトクンと締め付けられるんだ。
「じゃあ終わったら迎えに行くね!」
そう言って広報課の方へと歩いて行く直人くんの後ろ姿を見つめていた私の耳ににゅるりと生暖かいヌメリが届いて。
「ギャッ!!!」
変な声を出す私を見て意地悪そうに顔を崩して笑うてっちゃん。
「もー何すんの!」
「舐めたくなっただけよ!」
シレッと言うけど、誰がどのタイミングで耳を舐めるか!っつーの!!
「照れない照れない!」
…いや、照れてねぇし。
何て思いながらもきっと私の顔は真っ赤で。
てっちゃんにからかわれることを、少なからず嬉しく思っている自分もいて。
私の気持ちを知ってか知らずか、てっちゃんが今まで私に本気の態度を出したことはないにしろ、この誘惑からは中々抜け出せなくて。
直人くんみたいな真面目な人を好きでいたらきっと全てにおいて安心できると思う。
でも、時に女という生き物は、危険なものに手を出したくなるもので。
だからてっちゃんとの間をフラフラしている私。
この恋に終わりがこなければいいなんて思うほどに。