誕生日の過ごし方 2



「誕生日はどう過ごしたい?」

「…ん〜…どう…」



ソファーの上でお酒を飲みながらテレビを見ているごくごく至って普通の直人に向ってそう聞いた。

日付が回れば直人の生まれた日で。

ほろ酔い加減の直人の隣に座ってチュっと頬に口づけた。

チラっと私を見てヘラって笑う直人は「もっとして」そんな可愛いおねだり。

でも私はブンブンって首を横に振ってニコって笑う。



「答えて直人さん!?」

「え〜…」

「ないの?」

「…う〜ん」

「もしもだよ!私と直人さんがごくごく普通のカップルだったらとか…。芸能人じゃなくて普通のね!そしたら一般企業で働いてて、私が同じ会社の先輩で…とかそういう…」

「いいね〜それ!俺めっちゃ押されたい!めちゃくちゃガンガン押されて…」


お酒を置いて前のめりになっている直人。

私の肩に回していた腕を外して、開いた足の上に肘をつけて顎を触っている。

考えている時によくするその仕草に、何となくドキンとした。



「私が押すの?」

「他に誰が?」



両手を広げてキョトンと私を見る直人。

つぶらな瞳がランランと生き生きして見える。



「直人さん、妄想好きだね?」

「そりゃ好きよ!男はいつだって女にモテたい生き物だって」

「今でも十分モテてるのに?」



ちょっとだけふくれっ面で直人を見ると、楽しそうに笑って私の頬を軽くつねった。

分厚い指が私の唇をそっと謎って…―――――この部屋にエロスが漂った。



「彼氏がモテモテだと嫌?」

「うん、嫌!」

「…ハッキリ言うね!」

「でも、モテてるからもう仕方ない…」

「あはははは、でも俺お前だけだよ?」



…こうやって時々物凄く私をドキドキさせてくれる直人。

心臓がいくつあっても足りないって思うけど、私もそんな直人をドキドキさせているって思うと、それはやっぱり物凄く嬉しくて…



「てっちゃんと直人さんの間で揺れるゆきみ。もしくは、がんちゃんと直人さんの間で揺れるゆきみ…どっちがいい?」

「そうだな〜…がんちゃんもいいけど、ここはやっぱり男土田哲也をこえたいってとこかな…―――って、うおおおおおおいっ!!なんでそうなるのよ?俺モテてる風ちゃうんかいっ!?」

「あは!ライバルいる方が燃えない?」

「ゆきみがてっちゃんとも絡みたいだけだろ〜?」



シレっと私を睨む直人の口元は緩い。

ムウってしててもその唇は可愛い。

だから直人の首に腕をかけてそのまま彼を引き寄せる。



「でも直人さんのことすっごくすっごく大好きになるって…どう?」


私の言葉に視線を泳がせて考えてからこっちを向く。

斜めになっている私の背中に腕を添えて、そのまま直人が私をソファーに押し倒した。



「それでのんでやるよ!」


得意のドヤ顔でそう言って、お酒の味がする舌を私に入れたんだ――――――



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