▽ 人生変えた女
その日を境に俺は、ユヅキを幸せにする為に生きていこうと気持ちを切り替えた。
きっと、今まで経験する機会すら作らんかったんは、ユヅキとこうなる為やったんだと今なら胸を張って言える。
たかが女一人抱くだけで、これ程までに人生が変わるもんなのかと。
それはたぶん、俺とユヅキやから。
俺と他の女でもあかん、世界で唯一無二の俺とユヅキやから、運命感じたんやって。
大袈裟やけど、そう思う。
「で、どーだったの?」
合コンから一週間後、俺は悪友とも言える臣ちゃん隆ちゃんと居酒屋にきとった。
2人ともめっちゃニヤついた顔しやがって。
ユヅキんこと聞きたいんやろ?
しゃあない、教えたる。
「どうって、ユヅキんことやろ?そりゃ言葉に表わせへんくらい最高やったで」
俺の言葉に隆二は嬉しそうに笑って「よかったね、健ちゃん!」って言うてくれて、臣は「気持ちよかった?」なんて聞いてきた。
「あほか、気持ちいいに決まっとるやろ!」
「やっぱりユヅキちゃんがリードしたの?」
「まぁ、そらそーやけど、それでええねん、俺らは!」
ほんまにそうやねん。
「健ちゃんらしいなー」
隆二がグラスを傾けてきたから、そこに自分のジョッキをカチンと鳴らした。
一晩で男っぽくなったって言うてくれたユヅキの嬉しい言葉は、俺だけのもんにしときたい。
そうそう貰える言葉ちゃうものを、ユヅキは俺に沢山くれる。
その気持ちに精一杯答えたい、自然とそう思うんや。
「あーなんか健ちゃんが大人になっちゃって、寂しいなー」
臣ちゃんがグダーってテーブルに身体を投げ出した。
いやお前散々馬鹿にしとったやんけ、俺んこと。
「しゃあない、運命やから」
「運命ねぇ…」
そう言いながらも臣ちゃんがさっきの隆二みたいにグラスを傾けてきたからカチンとぶつけた。
その後根掘り葉掘りむっちゃ聞かれたけど、どれもこれも曖昧に答えとったら「つまんねぇっ!」って言われ、お開きになった。
とにかく今はユヅキだけしか俺ん頭になくって。
はよ帰って逢いたいって思いばっか募る。
急いでマンションに帰るとエレベーターであいつと一緒になった。