けんじろうの恋愛事情 | ナノ


▽ 朝の誘惑



服を着てリビングに顔を出すと、当たり前に俺の服を着ているユヅキ。

鼻歌を歌いながらキッチンでウインナーを焼いていた。



「あ、ダーリンおはよ!昨日のこと覚えてる?」

「え?昨日?」



ダーリンなんて呼ばれたことも初やし、昨日のことって何から何まで?って考えたけど、



「全部覚えてんで、ユヅキ、おはよーさん」



そこまで言って後ろからユヅキを抱きしめる。

グサっとウインナーをフォークで刺してそれを俺の前に差し出した。

なんとも豪快に。




「見てこれ!ウインナーっていつ見てもエロいよねぇ!」



そう言って笑いながらユヅキはそれを舌で舐めながらゆっくりと口に含んで噛みちぎった。

エッロ…

どう見てもエロいんはウインナーちゃうで、ユヅキやん!

昨日のフェラを思い出して下半身がムズムズする。



「俺のんとどっちがうまい?」

「あっは、けんじろーだよ、もちろん!おはようのチューは?してくれないの?」

「する」



こうやって全てが初めての俺を優しく導いてくれるユヅキ。

くるりと反転して俺の腰にキュッと腕を回す。

そのまま抱き寄せて唇をチュッと重ねた。

すぐに離れた唇はまた吸いこまれるように重なって…

朝の眩い光の中、キッチンでユヅキを抱き寄せておはよーのチューを何度も繰り返す。

舌を絡ませるとユヅキの腕がオレの首に巻きついて更に身体を密着させる。

そこで違和感。



「待って、ユヅキ、下着つけとらんの?」



羽織ってるんは俺の白シャツ1枚?

ノーブラ、ノーパン?

俺の言葉に「外したかった?」なんて余裕の微笑み。



「そうちゃう。いやなんていうか、常に欲情しそうやなって…」

「発情期?けんじろー」

「…すでに発情しとるわほんま」

「する?」

「えっ!?」

「朝一ユヅキを抱く? 」



そう言ってユヅキは俺のモリッとした下半身をムンズと掴んだ。



「あ、あかんっ」

「身体は正直だなぁ、けんじろー」

「やめっ…我慢できんくなる」

「ふふ、じゃあ止める?」



…あかん、完璧遊ばれてる。

でもなんやろーか、それでもかまへんって。

ユヅキと俺はこの関係でかまへんって。

「やめへんよ」…そう言おうと口を開いた瞬間、ピンポーン…家のチャイムが鳴り響いた。

誰やねん、こんな朝早ようにっ!

キスをしようと近づいた顔をゆっくり離してユヅキと目が合う。

このまま続けたい気持ち90%。

仕方なく訪問者を確認する気持ち10%…

どないせぇっちゅーの、俺の下半身。

ユヅキは面白ろ可笑しいって顔で俺の首にかけた腕を解いたものの、抱きついた身体はそのまんま。




「けんじろー誰かきたよ?」

「せやな」

「出ないのぉ?」

「出たないわ」

「ふふ、素直で可愛い。無視しちゃう?」

「無視しよ!」



そう言ってユヅキにキスをした瞬間、またピンポーン…呼び鈴が鳴らされた。

ほんま、誰やねんっ!?





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