▽ 俺の願い
「んふふふふっ…健二郎くんって綺麗な顔してるよね…」
頬に手を添えられて甘く囁くユヅキちゃん。
そんなん言われたこと一度もないねんけど…
「初めて言われたけど…」
「え、そうなの?あ、そっか…友達が悪い。あんなイケメン二人が側にいるから霞んじゃうのかなぁ〜?私は健二郎くんのが好きだけどね」
なるほど。
俺がモテんかったんはあの二人のせいか。
「恨むわ〜あいつら…」
「でもそのせいで私と出逢えたじゃん」
「マジ、感謝やわ〜あの二人〜」
「プッ!本当可愛いなぁ、健二郎くん」
ユヅキちゃんが笑いながら俺の手を引いて。
「ね、お風呂すっごく広い…一緒に入ろうよ!」
「え…風呂って一緒に入るもんなん?」
「うん、洗ってあげる、私が〜」
「あ、洗ってもらうわ〜」
「ふふ、んじゃ沸かそう!」
俺の手を引いて洗面所に行く。
栓をスポっとはめてボタンを押すとジャーっとお湯が流れる。
ほんまに俺、この子とするんやな…って実感がわいてくる。
ユヅキちゃんをチラっと見ると首の後ろに手をやってネックレスを外している。
そんな姿も滅多に見るもんちゃうわって。
固まって見とれている俺に気づいてユヅキちゃんがニコっと笑った。
可愛いわ〜ほんま。
「見すぎぃ!」
「え、すまんっ!ついうっかりや。そんなネックレス外すとこなんて見たことあらへんから…なんや色っぽいな〜って」
「ほんと?」
「ほんまや」
「嬉しいなぁ。ね、健二郎くん思ってることもっといっぱい言って欲しい。どうしたいとか…私全部叶えてあげるよ!」
…俺の願いなんてそんなん…
「早よ、シたい…」
「も〜素直すぎ!でも嫌いじゃないよ、そんな健二郎くん。お風呂が沸くまでキスの続きね…」
ユヅキちゃんの手が俺の頬を包む。
壁に追い込まれて俺の腰に腕を回すとそのまま顔を寄せてそっと目を閉じた。