愛してる


「うん。一つになりたい、直人さんと。離れたくない…」

「離さないよ。ずっと傍にいる」



抱きしめている腕を緩めて距離を作った直人は真っ直ぐに私を見つめる。

ドキドキしながら見つめ返す私にほんのり優しく微笑むと。



「愛してる」



甘く囁いた。

頬を触る手がすごく優しくて温かくて。

直人の奏でる「愛してる」が、こんなにも心地よいものだと改めて思う。

臣に言われた時は苦しくて聞こえないフリをしていたけど、直人の言葉ならもっと聞きたいと思ってしまう。

それと同時に自然と流れるこの涙に、どうしようもない直人への気持ちを確認する。

自分じゃどうにもできない気持ちを知った時、それが本物の恋だとみんな認識するのかもしれない。

恋は苦しいけど、すごく幸せだって、直人が教えてくれる。

もう直人から離れられない。

離れない……



「私も…愛してる」



初めて言った愛してる。

誰かを思って口にした愛してるって響き。

自分の声で、私の言葉で口に出したこの気持ち、直人に届いた?

こんな出逢いじゃなければ直人と人生を絡ませることもなかった。

でも出逢いよりも直人を愛したことが、私には嬉しい。

誰も好きになることなんてないと思っていたから。

哲也にどれほど抱かれても心が動かなかった。

だから思いたい。

……願いたい。


直人と出逢う為にこの世に生まれてきたと。

直人に愛される為に、この世界で生きてきたと。


痺れるようなキスの後、直人がゴムを装着して私をベッドに寝かせた。

自分のを掴んでそのままM字に開いた足の間にゆっくりと押挿れた。



「大丈夫?痛くない?」



確認しながらも直人は奥へと埋めていく。

私はコクっと頷くだけで、ジッと下から直人を見つめていた。

慎重に挿入する直人は、ほんのり口が半開きで、妖艶。

セクシーさと少年の部分を持ち合わせた魅力的なその表情に一々魅了される。

きっと抱かれる度に好きになる。

そう思える。

キュッと顔の横についた手に直人の指が上から絡まった。



「奥まで挿いった。ユヅキの中、熱くてとけそう…ゆっくり動くよ?」

「うん」



私の返事をちゃんと聞いてから直人がゆっくりと腰を回すように動かし始めた。


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