叶わぬ恋


いつ服脱いだ?とか。

いつの間にベッドに移動してた?とか、そんな記憶すらなくて。

直人の分厚い胸板は誰よりも心地よくて、短い指は器用に私を快楽へと導く。


「可愛いっ…」


余裕ないって言ったのに、直人はちゃんと私を見て、私の声を聞いて、甘い声を上げる度にそこを執拗に攻めたてる。


「ンッ……はあっ…」


開いた足の間に顔を埋めて舌で子宮の壁を舐めながら指で突起を摘まれる。

いやでも声があがる。

心地よいとか、気持ちいいとかそんな次元じゃない。

直人の呼吸一つにすら敏感に身体が反応する。

動かしてない指をキュッと握ると直人が舌攻めを止めてこっちを向く。

ふわふわの髪の間から見える真っ直ぐな目に心臓射抜かれそう。



「直人さ…ん」



小さく呼ぶとすぐに私の元へと来てくれる。

チュッて身体の色んな所にキスを落としながらも、私の上に乗っかっておデコをくっつける。



「どうしたの?」

「さっきから頭変になりそう。直人さんが私に触れる度に、キスされる度に幸せで嬉しくて、でもちょっとだけ苦しい…。ねぇこーいうのなんていうの?私、直人さんのこと好きだよ…」



よく分からない感情を言葉にするとどうしてか涙が溢れてくる。

感情を言葉にすると、人間って泣くの?

私だけ?

泣いてる私の涙を指で拭ってそこに小さなキスを落とす。

そのまま2人で横向きになると、ギュッと身体を抱きしめて背中をゆっくりとさすってくれる直人の首元に顔を埋めた。



「愛…でしょ、それ。俺もユヅキちゃんのこと思うと嬉しくてちょっと苦しい。でも離せない。このままユヅキちゃんと一つになれたらいいのに…好きだよユヅキ…愛してる…」



最後は低い声で耳元に囁くみたいに言われた。

だからか、また涙が溢れてくる。

どうしてこんなに泣けるんだろう。

人は愛を知ると泣いてしまうものなんだろうか。

直人を愛してるんだって。

本当は私、ずっと誰かにこうして本気で愛されたかったんだって。

もう嘘なんてつけない。

自分にだけは素直でいたいよ。

どんな出逢い方だったとしても、直人を好きになったことに後悔はない。


―――例え叶わぬ恋だとしても。


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