必死な弟
薬を飲んで一息ついた私はソファーの上で臣の膝の上にゴロっと頭を乗せた。
すぐに臣がフワリと私の髪を優しく撫でてくれる。
「ユヅキだって甘えてんじゃん」
そう言う臣の口端は緩んでいて嬉しそう。
慣れてないの?こーいうの…
なんて思っちゃうわけで。
「臣さんやっぱキャラ壊れてる!ナンバー1ホストの残像もねぇな…」
剛典が残念そうに言うわけで。
つい先日までホストだった剛典はある意味伝説のホストな臣を尊敬しているんじゃないかって。
そんな臣がまさかの…―――「臣ってやっぱチェリーじゃないの?」ゴンゴンって頭の下にあるであろう臣のシンボルを後頭部で押すと「はあぁっ!?」真っ赤な顔でポカっとオデコをピンっと指で弾いた。
「え、マジっすか臣さん!?」
「剛典は慣れてるよね〜」
「俺よかった?そういやユヅキちゃんに感想聞いてなかった!」
「…普通」
「え、待ってよ!」
私と剛典の会話をさも不満そうに聞いていた臣がジロっと剛典を睨みつけた。
そのまま視線は哲也の方にいって。
「剛典ユヅキとシたの?」
凄むような低い声が届いた。
そんな臣から出るオーラを嫌ともせず「あ、はい!めっちゃ可愛かったっすユヅキちゃん!」ニコって笑顔を飛ばす剛典。
臣の視線はスッと私に降りてきて。
唇を指でツーっとなぞった。
「なんで?なんで俺より先に剛典?」
「なんでって、昨日臣いなかったから」
「哲也さんじゃないの、昨日も…」
「臣がいたら臣と寝たよ?」
プウ〜って頬を膨らませている臣は正直可愛いだけ。
一人怒っている臣だけど、ヤキモチ妬きなのは前からで。
臣の膝の上で寝ている私の腰に腕を通すと、そのままスッと立ち上がった。
「えっ!?」
「じゃあ今夜やっぱ俺にしてよ。哲也さん、俺ユヅキが欲しい」
お姫様抱っこをしたまま臣が私ごと哲也の前まで移動する。
珈琲を淹れていた哲也はジッと私を見つめる。
「そう焦るなって広臣。必死感出過ぎじゃない?」
哲也に冷たくあしらわれたけど引かずにギュっと私を抱く腕に力を込める。
そんなに欲しいの?
「てっちゃん臣でいいよ私…」
「臣で…いいのね、ユヅキ!じゃあ仕方ないから今夜は広臣にあげる」
うん私、モノじゃないけど。
でも臣がこんな風に愛情注いでくれるのは単純に嬉しかった。