心配症


事務所に寄らずにそのまま自分のマンションへと直行した。

シェアハウスで暮らす私達だけど、時々そこにいない日もあって。

今日はどうにも一人でいたい気分だった。

前に哲也に言われた言葉が耳に残っている。


―――好きになるなよ。


なるわけないよ。

マジになんてなったことないし、そんな気持ちも分からない。

ベッドの上、枕に顔を埋めて目を閉じる。

浮かぶのは直人で。

照れくさそうな笑顔と、優しい眼差し…

胸の奥が小さくトクン…トクン…と音を立てている。


「馬鹿みたい…」


そう呟いた時、ピンポーン…家のチャイムが鳴った。

誰…?

誰であっても会いたくない。

ほっといてほしい…

そう思って無視していないフリ…できるわけもなく。

ベッド脇に置いてあるスマホがブーっとバイブ音を鳴らしている。

GPSも録音機能も入ったこのスマホ。

持ってるだけで居場所が分かるし、会話だったりメールだったりは全部アキラと哲也には見られるしくみになっている。

私が出ないって判断したのかガチャガチャって鍵が開いて勝手に部屋に入ってくる足音。

哲也なのかアキラなのか分からないその足音に枕に顔を埋めた。


「ユヅキ…」


聞こえたのはアキラの声で。

様子見にきたの?

それとも経過が悪くて怒りにきたの?


「寝てんのか?」


聞こえる声はいつもの優しいアキラ。

ギシって音がしてベッドが少し凹んだ。

サラって髪を撫でられて…


「熱あんじゃねぇか…たく」


…え?

だから熱かったの?

だからこんな弱ってんの?

クルリと身体を反転させられて「下がるまで休め」そう言われた。


「アキラ…」

「ん?」

「できるよ私」

「ああ」

「ちゃんと最後までやるから…」

「ああ分かってる。今広臣呼ぶから待ってろ」


哲也じゃなくてよかった。

でも私の体調が悪いことに哲也が気づいてたのかもしれないって。

だからこうしてアキラが見にきたんじゃないかって…


「てっちゃんでしょ?アキラ…」


私の言葉に背中を撫でていた指が止まる。


「分かってんじゃねぇか!心配してる…哲也も俺もみんな…」

「できるから、最後までやらせて!」

「分かってる。お前を信じて託したんだ。できなかったら俺の責任だ。お前は最後までやり遂げるよ!」

「うん…。アキラ…」

「ん?」

「キスしてよ…」


アキラの腕をギュっと掴んで見上げる私をジッと見つめる強い瞳。

私の顔の横に手をついて、小さく囁いたんだ…―――「惚れんなよ」。

アキラの重みを身体いっぱい感じて温い舌を絡ませる。

呼吸がうまくできなくて洩れる吐息にアキラの手が私の服の上から胸に触れた。

そのままムニュっと揉まれて「ンンンッ…」キスの間にまた声が漏れる。

アキラの首に腕を回すとフワリと私を抱きあげて、その隙に着ているニットを捲りあげられる。

ブラをパチンっと簡単に外してツワになった胸をチュっと舐めた。


「あああああっ…」


快感に身をよじる私を更に興奮気味にアキラの舌が身体を這う。

キスを終えた口にアキラの指が差し込まれて…

それを舐める私の身体をアキラの舌が濡らしていく。


「アンッ…」


反対側のアキラの指が私のスカートの中に入りこむ。

迷うことなく下着の中へと入っていって…

押し込まれた指に身体が反応する。

哲也とは太さも長さも骨格も全然違うその指に快感は溢れてきて…


「アキラッ…」


何度も名前を呼ぶ私の身体をその舌と指で何度も攻めてくる。

奥まで擦りつける指をグルグルに中で回されて子宮の奥がキュウキュウしまる感覚がして。


「ユヅキ…」


甘く名前を呼ばれてアキラの涎が私のおへそに垂らされてジュルリと吸いつかれた瞬間、中の指も奥の壁をギュっと擦る…


「ああああああああっ…」


頭が真っ白になってビクビクビクっと身体を揺らした。

子宮がキュッキュ鳴いているのが分かる。

ポロっと頬を涙が伝う私に、アキラが優しくキスをした。

- 24 -
prev next
▲Novel_top