何度でも

「いい匂い。ユヅキいつもいい匂い…」


ソファーに座る隆二の上に横向きで乗っかっている私の胸元に顔を埋めて、チラリとしている鎖骨にチュッてキスを落とす隆二。

心地よくて隆二の頭を軽く抱えるとシャンプーの甘い香りがして、そこに指を差し込んでサラサラっとすると隆二が顔を上げた。


「それ気持ちいいかも…」


なんて言うから髪の毛に何度も指を差し込んだんだ。


「明日キスマークつけて出勤したら山口さん達に絶対突っ込まれるよね?」

「危険。早退してなにしてたんだよ!って隆二怒られるよ?」

「だろーなぁ。でも熱がないって分かったなら理性も崩壊するよーユヅキ、可愛いから」


隆二の言う「可愛い」は心地がいい。

他の男には出せない心地よさを持っている。

何度だって聞きたいし、何度だって言ってほしい。

何度となく言わせたくなる。


「へへ。可愛い?」

「あーずるいそれ。そんな顔して言うの反則」

「だって、聞きたいんだもん」

「いいよ、何度でも言ってあげる」


私の腰に腕をかけて、後頭部を抑えたままソファーに押し倒した。

ギシッと音を立てるソファーで隆二が私の頬を指で甘く触る。

ほんのり目を細めるとそのまま隆二のキスが落ちた。

1回目は髭が当たってちょっとだけくすぐったいの。

でも2回目はそれすら気にならなくなる。

軽く触れた唇は、柔らかくて甘くて。

浅黒い隆二の頬に手を添えると「可愛い。めちゃくちゃ可愛い…」優しく笑った。


「隆二もかっこいい」

「もっと聞かせて、可愛い声で」

「大好き」

「俺も大好き」


私も隆二もお互いしか見えなくて。

こんな幸せな日々がずーっとずーっと続いて欲しいと願わずにはいられない。

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