早く帰ろう
ユヅキの愛が欲しい…なんて台詞、絶対に隆二以外は許されない。
「隆二ぃ…早く帰ろうよ…」
「だな!でもこれさ、何個買う?とりあえず買いしめる?」
難なくゴールデンボックスを手にする隆二。
ニカって笑っているその顔がすごくかっこよくて…繋いだ手にキュっと力を込めると隆二がふわりと微笑んだ。
「普通に3つでいいよ」
「…え?普通に3つ!?ユヅキのがえっちじゃん!まぁ俺はそんなえっちなユヅキが大好きだけどね」
「隆二と付き合ってから色々むけたのかな私…」
「はは、俺のせい?それとも、俺のため?」
そんなの…「隆二のせいだよ!」そう言って腕に抱きつくと、「じゃあ責任取らなきゃな〜」って軽く微笑んだ。
ああもう、その顔も声も形も仕草も全部全部大好き。
どうしてこんなにも好きだって思えるんだろうか。
今までの相手だってそれなりに好きは好きだったはずだけど、隆二みたいに毎日好きだって思うことも特になかったよね。
「責任とって私をどうする気?」
「責任とって、とりあえず今日は食べちゃう!」
ガオガオってこんな優しい狼いないよ〜。
「食べられちゃったら私どうなる?」
「ん〜とりあえず、予想だととろける?あ、これ俺の希望か…」
「ふふふ、ご希望に添えるかなぁ…」
「頑張っちゃうよ、俺」
「大丈夫、いつもとろけてるから…」
背伸びして耳元でそう言うと隆二の足がガクっとする。
困った顔で私を見つめる隆二に視線を返す。
「息かけるとかずるいなぁ。ここお店だよ…」
「感じた?」
「…すげぇ。ってダメだ。色々我慢ができそうもない。マジで早く帰ろう…」
隆二がゴールデンボックスを3つ手にして、ついでにポカリとガムもとってレジに行く。
私達のすぐ後を、高校生のカップルが恥ずかしそうにソレに手を伸ばしたんだ。
ふふふ、なんか可愛い。
今だからこうして出逢えた私達だけど、もしもあんな学生のころ出逢っていたら隆二は私を選んでくれたのだろうか?
バイトのレジ打ちの女子高生が隆二を見てポーっとしていた。
こんな人がいたらそりゃ顔もポーっとしちゃうよね…
清算して袋を受け取った隆二は「自販で煙草買っていい?」私の手を握る。
「うん」
「んじゃ行こ」
薬局を出ると、風が私達を冷やす。
「やっと二人きり…」
そう言った隆二は、電柱の陰に私を追いこむと、素早く小さなキスをした。
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