最高の夜
呆れるでもなく、微笑んでいる隆二。
この前隆二に結婚を迫られた時、ちょっとだけ吃驚した自分だけど、あの時は隆二に言われて結婚を意識したんだっけ。
勿論そのつもりで付き合っていたけど、実際今すぐどうとか考えてはいなかったんだと思う。
だから隆二に当たり前に言われて吃驚したけど、やっぱり嬉しかった。
この先、隆二のように愛し愛される関係の人なんてきっといない。
どんな隆二でも受け止める自信があるし、どんな私でも受け入れて貰えるって思える。
「ユヅキさん…」
「…はい?」
「僕と結婚してください」
今ここには指輪も素敵なレストランもない。
隆二の部屋のベッドの上で、これから抱かれるって行為の真っ只中で、二人とも半裸で。
絶対TPOは間違ってるって思う。
でもやっぱり私、今この瞬間強く隆二と結婚したいって思ったから。
だからそれがちゃんと隆二に伝わっていて、すごくすごく嬉しい。
ジワリと涙が溢れてくる。
大好きな人に、一生を共にして欲しい…と、心から言われることが、涙が出る程嬉しいなんて知らなかった。
ドラマや映画で泣いてる人をよく見るけど、自分が実際言われてもきっと泣くことなんてないんだろうなって正直思っていたのに…
「ユヅキ…。返事は?」
「…はい。喜んで…」
「世界で一番幸せにしてあげるから。俺のことずっと愛してて?」
「りゅーじぃ…」
「あはは、泣いてるユヅキも可愛くて好きだよ」
チュって涙をキスで拭う。
「ちゃんと決めて会社にも報告しないとね。それからユヅキのご両親にも逢いたいし、俺の家族にも逢って欲しい…」
「うん…」
「でもとりあえず今は…続きしてもいいかな?」
そっと隆二の手が私の手首を掴んでソコに持っていく。
モリっとした隆二がソコにはいて。
見つめ合ってクスっと笑った。
抱き合ってキスをしてスーツ隆二の誘惑にも勝てず…
生きとし生ける全ての生き物の中で、今夜は私達が一番幸せだよね?
「今市ユヅキ…」
行為の最中にそうボヤいてみたら、隆二が「えっちょっ…」甘い声を上げて達したなんて。
「ふふ。隆二って言葉攻めに弱いよね?」
枕に顔を埋めながらチラっと横で天井向いて大きく呼吸をしている隆二の黒い髪を指で撫でる。
私に視線を向けると「だってユヅキが色々言うから」唇を尖らせる隆二は最高に可愛い。
スーツを脱いだら可愛くて、隆二の上に跨った私をそのまま受け入れる隆二。
今夜は存分に幸せを分かち合おう。
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