幸せな言葉

「生の隆二じゃないとイヤ…」

「…もうそういうのがエロイんだってユヅキは!生の俺ってさぁ…」


ポンって隆二の手が私の頭を撫でる。

そのまま頬に降りて唇をツーって指でなぞるその仕草の方が絶対にエロイのに。

キスしたくなる隆二の指。

見つめる視線と、熱い唇…――「隆二ぃ…」思わず漏れた声は甘くて自分じゃないみたい。

でも隆二の前だとどんな私も受け入れて貰える。


「キスしたい?」


Sな隆二にそう言われて、コクっと頷くと「動画はもういいの?」なんて言われて。

今キスしたい気持ちと動画撮りたいって気持ちがぶつかって変な感情。


「キスしてから動画撮る…」


そう言って隆二のことを引き寄せてその大好きな唇をチュっと舌で舐めた。

煙草を持っている指に私の指を絡めると煙草なんて下に落としてギュっと絡め返してくれる隆二。

腰に反対の腕を回されて縮まる距離に触れあう唇は深さを増していく…

軽くあたる鬚を舌で舐めるとパチっと隆二の目が見開いた。


「も〜う。反応しちゃうから!」


スッと掴まれた手首は隆二の手と一緒に下半身に当てられる。


「キスだけなのにね?」


楽しくてそう言うと隆二がほんのり眉毛を下げる。


「キスしなくてもユヅキに触れてるだけでこうなるよ俺」

「そうなの?」

「当たり前!」


そんなこと言われたの初めて。

隆二がくれる言葉はいつだって私の気持ちを満たしてくれる。

それがシンプルな言葉であっても、隆二の口から隆二の想いをのせて出た言葉ならば私の全てを幸せにしてくれようとしている気がするんだ。

私も隆二にそんな言葉をあげたい…


「隆二、好き。大好き…愛してる…ずっと一緒にいたい…離れたくない…」


言葉を繋げる私を一瞬キョトンとした顔で見下ろす隆二は、すぐに私を胸に抱きとめた。


「俺もユヅキが好き、大好き。愛してる、ずっと一緒にいるよ。絶対に離さない…」


ほら、ちゃんと答えをくれる隆二。

こんな風に欲しい言葉をくれるのは世界中に隆二以外いない。

かっこいいスーツ隆二の動画が撮りたいのに、隆二の腕の中から離れらんない。


「大好き…」

「俺も大好き」

「私のが大好き」

「だ〜め、俺のが大好き」

「ええ、私だよぅ」

「お〜れ!」


…ほんのり距離を取って見つめ合うとクスっと笑ってまたキスをした。

ねぇもう何度しても足りない。

満たされないわけじゃなくて足りない。


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