きみに夢中

「やっと二人っきりだ〜」


車に乗り込んだ隆二が小さくぼやいた。

私も思っていたからそれが嬉しくて。

ハンドルを握ったまま私を見つめる隆二にそっと近づいて「二人っきりだね」耳元でそう言って隆二の腕に手をかけた。


されるがままの隆二はゆったりと呼吸をしながら私を見ていて。


「よかった、ユヅキが臣に惚れなくて!」

「あっは、ないってそれ!今市隆二だから好きなんだもん私!世界中どこ探しても今市隆二は一人しかいないでしょ?」

「…俺どんだけユヅキのこと愛したらいんだろ…」


どうしてか深く溜息をつく隆二。

その顔は切なげで。


「隆二?」

「どんだけ俺を夢中にさせたら気がすむのかな、この子は」


私の頬を手で包み込むように触れていて。

その手に上から自分の手を重ねるとほんのり瞳を細めた。

無音の車の中で聞こえるのは私と隆二の息使いだけで。


「早く家に帰ってユヅキを抱きたいけど…我慢できそうもない」


グイって頬の手が首にかかってそのまま強く引き寄せられる。

辛うじてキスをしないで胸に抱きとめる隆二。

首にチュって私からキスをすると「止まらなくなるよ、俺…」ちょっとだけ弱気な隆二の声にクスって微笑んだ。

今日はどうにも隆二を攻めたい気持ちでいっぱいで。

スーツ隆二の魔法にかかりながらも、そんな隆二を翻弄できる喜びを感じてしまう。


「私って、Sなのかな…」

「ふはっ!今頃!?俺ずっとユヅキにやられっぱなし!」

「脱いだら隆二が攻めでしょ?」

「どっちでもいいの俺!ユヅキとならなんだってあり」

「なんだって?」

「うん。全部愛おしくなっちゃう」

「じゃあ早く帰ろう!」


そう言って隆二の首にまたチュって吸いつくと「ああ、もうっ!」それでも隆二の目は優しくて。

黒髪をスッと撫でるとその手を掴んでチュっと吸いつかれた。

そのまま隆二の手が誘導するのはさっきからず〜っと我慢しているところで。


「抱きしめるだけで感じる…」

「ふふふ、ここ好きだよ私」


ツンってすると「ンッ」耳元で隆二が甘く囁いた。


「もー俺のが好きっ!」


ガバって隆二が私に抱きついて、そのまま強引にキスをする。

ニュルって激しく舌が入りこんで絡み取られる。

ジュジュジュって舌を思いっきり吸われて苦しいけど心地よくて…

隆二のソコに手を這わすと「ああああ――」って隆二の舌が出て行った。

そのまま大きく深呼吸をして「んじゃ行くよ」まるで航海に出るかのような気合いだった。

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