お似合い
隆二と一緒にそっちを見ると髪の長い子が笑顔で接客していて。
その笑顔はすっごく可愛い。
ちょっと小動物っぽい雰囲気だけど笑うと優しそうな感じがして…
「え、臣のタイプだっけ?」
「違うって言いたいの?」
ジッとオミが隆二に強い視線を送る。
隆二はジーっと店員さんを見てまた視線をオミに戻した。
「外れではないけど、ストライクって感じでも…」
「だよね、俺もそう思った。だからマジなんだ…仕事終えてあの子に逢うために毎日通ってるんだよね…」
好きな子を見つめるオミの目は優しくて、嬉しそうで、見ているだけでも好きなのかな?ってちょっと分かっちゃいそうで。
「いいね、オミくん。いい顔してる」
私がボソっと言うと「隆二もね。すげぇいい顔だよ。まぁほぼ緩みっぱなしだけど」ニヤって口端を緩めた。
どれだけ緩んでいるのか分からないけど、確かに仕事をしている時の真剣な顔と、私と二人の時の顔は違くて。
どっちも隆二だと思うけど、二人っきりの時の顔は、なるべく他の人には見せたくないのが本音かもしれない。
「あ、今さ、その顔誰にも見せたくないって思ったっしょ?」
「…え?うん。何で?私顔に出てた?」
「おう、すっげぇ出てた。そんな愛おしそうな顔で隆二のこと見てたら理性ふっ飛ばしちゃうよ、こいつ」
ポカって肘鉄をくらわせるオミに、楽しそうに笑っている隆二。
「あは、隆二ならいいよ」
「だめだめそーいうこと言っちゃ!マジで隆二手早かったっしょ?」
「早いとか遅いとかってことじゃないよね、私達」
「うん。俺達もっと深いところで繋がってるから…」
隆二の過去をさっきなんとなく聞いたからきっといっぱい遊んできたんだろうって思う。
だからオミが色々言うのも分かるけど。
今私の前にいる隆二が私にとっては一番で。
それはつまり、私と隆二の気持ちが同じだってこと。
だからオミに色々言われても何とも思わなかった。
きっと隆二もそれを分かってるし、オミがそういう奴だってことも。
何も言い返さないで笑ってる隆二が答えなんだって、ちょっと分かった。
「なんだ、お前らつまんねぇな〜。まぁいいけど!いつにもなく隆二の雰囲気が優しいのにユヅキちゃんのことすげぇ守ってる感じ出てるし…。いんじゃん、二人お似合いだよ!」
そう言うとオミは立ち上がって「顔見たら安心した。じゃあな」風の様に去って行ったんだ。
「俺達も帰ろっか」
隆二の言葉にそっと手を繋いだ。
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