親友オミ

「初めまして、ユヅキです。えっと、いつも隆二がお世話になっています」


ペコっと頭を下げる私に口端を思いっきり緩めて「やっぱ奥さんでしょ」そう笑う隆二。

私を奥さんだって言って喜んでくれるのが嬉しくて、でもやっぱりちょっと恥ずかしくて照れ笑いしかできない。

オミは私達がいるテーブルの隣の席に座って「俺も一杯飲ませて」そう言うとメニューを見て立ち上がった。


「ちょっと買ってくる」

「うん」


ペコっと頭を下げると、去り際に私の頭をポンってしてレジに向かった。


「あ、触っていいとか言ってねぇし。たく…そーいうことすると勘違いするじゃん女の子。ユヅキ、消毒!」


そう言って上からなぞるように隆二が私を撫でた。

そのままジッと見つめて…


「ユヅキ…」


頬に手を添えて見つめ合う。


「りゅ…じ?」

「臣…どうだった?」

「え?どうって?」

「ん〜かっこいいとか…タイプとか…思ってないよね?」

「うん。思ってない。かっこいいのもタイプなのも隆二だけ」


ホッとしたような隆二の顔に私もニッコリ微笑んだ。

確かに一般的にかっこいいんじゃないかとは思うけど。

さっきのポンポンもさりげないし立ち振る舞いが何かお洒落。

恋人がいるいない関係なしに魅力を感じる人なんじゃないかって。

だけど私の心を熱くするのは隆二だけだなって、むしろ実感する。


「あ〜よかった!臣も信用してるけど、ユヅキも信じてるよ!」

「うん。安心してね」

「またイチャイチャしてやがる…」


すぐに戻ってきたオミがまた私の頭をポンってしながら席についた。

そんなオミを見て不満気に「一々触るなよ、俺の女に!」隆二らしからぬ言葉遣いにほんのりテンションがあがったなんて。

スーツ隆二にそんな男らしいことを言われて落ち着いてろって方が無理な話で。


「かっこいい…」


完全に独り言のつもりだったけど声に出ていたみたいで、プッてオミが笑った。


「隆二優しい?」


片手をテーブルについてストローで珈琲を飲みながら私を見つめるオミ。


「すごく優しい」

「だろーね。すげーいやらしい顔してんもん!」


悪戯っ子みたいな笑顔を見せるオミに隆二が珈琲をブッて噴きそうになった。


「なんだよ臣、ヤキモチ?」

「まさか!」

「あ、この店にいるんだろ?臣の好きな子」


キョロキョロと辺りを見回す隆二に、オミは余裕の微笑みを見せる。


「うん、今レジやってる子」


照れもせずそう言ったんだ。

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