地元の友達

「熱海とかですと、結構奥まで行くとありますよ。予算がどのくらいですか?」

「熱海ね、熱海。あ、俺あそこ、秘宝館行ったことあるよ、臣達と…!あ、予算は特に…」

「秘宝館ってアレだよね…?」

「そう、アレね、アレ!」


ニッコリ微笑む隆二。

スーツのイケメンがそんな顔で微笑んで、JTBの店員さんも絶対かっこいいって思ってるはず。

でも下ネタだからまぁいいか。


「オミ?」

「あ、そう地元のダチで、アパレルやってんの今!元は美容師なんだけどね。かっこいいよ臣!」


そういや初めて聞くかも、隆二の地元の友達とか。

私にとってのかっこいいは隆二以外にいないけれど、ちょっと見てみたい気もする。


「隆二の友達みんなかっこよさそうだなぁ〜」

「はは、どうだろ?でも臣は群を抜くかな〜」

「オミって変わった名前だね?」

「広臣って言うの、登坂広臣!」

「それでオミ?」

「そう、名前もかっこいいんだよね〜」


今市隆二も負けてないよ!って言いたかったけど、さすがに店員の前で宿決めの最中でイチャイチャされたら困るだろうな…って思って笑って話題を変えた。


「宿の個室に露天風呂がついてる所って結構あります?」

「ありますよ、ちょっとお値段はりますけど、熱海とかあっちの方は温泉街なので、ピンキリなんですけどね…」


海外でもよかったけど、やっぱり最初は日本がよかった。

GWなんてどこ行っても混んでるんだろうし、だったらゆっくりできる場所って考えたら温泉で。

そしたらやっぱり露天で、でも一人で入るのは寂しいし、お部屋に露天がついてたら一緒に入れるな〜って。


「結構いっぱいあるんだね…」

「車で行くんで宿だけおさえて貰えますか?」


隆二がそう言って。


「運転大変じゃない?渋滞もするだろうし、私電車とか新幹線とかでいいよ」

「大丈夫、俺運転好きだし、ユヅキと一緒なら渋滞もイライラしないし!」

「とっても仲がよろしいんですね」

「はい!」


嬉しそうに答える隆二に内心超浮かれていて、脳内では既に私は隆二の首に抱きついているぐらいで。

だけど現実は「もう」って隆二の太腿をポカってする程度。

この頭の中でのギャップが人前だとこんなにも激しいものかって。

いつも会社だとそう見られることもなかったせいか急に恥ずかしくなってしまいそうで。


「じゃあここでおさえますね」


無事に宿をおさえて、私達は次なるディナーへと進んでいく。

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