好き好きオーラ

「それで、俺達以外のみんなにはバレるまで言わない方がいいの?」


山口さんの言葉に隆二がチラっと私を見る。

私としてはやっぱり内緒にしておきたい気もするけど、会社で堂々と隆二を好きだって態度を見せるのも悪くはないんじゃないかって。

正直、好き好きオーラを隠せている自信なんてこれっぽっちもないし、隆二も私を少なからず好きだって気持ちで接してくれているから、山口さんであり松岡さんも怪しんでいたんじゃないかって。

私を見てまた優しく隆二が髪を撫でた。

たったそれだけでキュンっと胸が疼く。


「そうっすね…できればお二人だけの秘密にしていていただけますと、ユヅキが働きやすいかな〜って…」


いつだって私の気持ちを最優先してくれる優しい隆二。

嬉しいけど、そのぐらいだったら私全然大丈夫だよ。

逆に隆二が現場でからかわれたりされる方が嫌だな…って。

まぁうちの会社にはそんな嫌味なことを言う人もいないと思うけど。


「隆二くん…私平気だよ?」

「いいのいいの、俺が嫌なの!ユヅキのこと変な目で見られるのが。俺がいればいつでも助けるけど俺がいない所であれこれ聞かれるのは…やっぱ妬ける」


…妬けるだなんて。

私は隆二以外見てないのに。

そう言いたいけどさすがにそれは我慢した。


「お前ら〜!聞いたの俺だけど、完全に俺達の存在忘れてんな?全くどんだけラブラブなんだよっ!」


ポカって山口さんの痛くないであろう鉄拳が隆二の真っ黒な髪に落ちた。


「まだ付き合ったばっかなの?」

「あーまぁ。バレンタインの日…」

「マジかよ!お前ら〜!いいのユヅキちゃん!こんな変態な奴で?」


松岡さんの質問にしっかり答えた隆二に対して、山口さんが今度は私に聞いてきた。

その瞳はどうしてか下半身をまたも見つめていて。


「隆二くんそんなに変態キャラなんですか?さっきから下半身ばっか見られてる気が…」

「ちょっと困ります!ユヅキのことあんま見ないで下さいよ〜」

「…だってもうそこ隆二色に染まっちゃったんでしょ?」


…あ、そういうことね。


「だから、そーいう質問一切無し!現場で俺が答えるからユヅキには聞かないでください!」


ちょっとだけ温厚な隆二の性格が壊れたように思えた。

そんな隆二も新鮮でいいけど。


「はいはい、もう聞かないよ!とりあえず隆二、今度飯奢れよ?」

「もちろんっすよ!」

「じゃあな」


なんだかんだで、隆二だって可愛がられているよね。


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