邪魔者

「じつは気になってて…」

「え?」

「ユヅキにかっこいいって思われたいって…。いつも作業着だしたまにはこんな俺も見て貰いたかったし、それでかっこいいって思ってくれたらすげぇ嬉しいな…って」

「え、思うよ!もう心臓吐きそうなくらいかっこいい!って…。だからずっと隆二のこと見つめちゃって…目が離せなくて、一々かっこいい…って思っちゃって、ポーっとして…。熱なんてないのに赤くなっちゃっ…

「ストップ!もうそれ以上言われると俺、理性が飛びそう…」


見ると、私と同じくらい真っ赤な顔の隆二。

普段色黒だから、赤くなった姿なんて滅多に見たことない隆二が、耳まで真っ赤にして私を見ている。

それだけでまた胸の奥がキュンっとする。


「いいよ、飛んでも…。隆二…かっこいい…」


手を伸ばしてサラサラな黒髪に指を差し込む。

ゴキュって隆二が生唾を飲み込む音がして…俯いた後ゆっくりと視線を絡ませた。


「意地悪だなぁユヅキ…」


掠れた隆二の声に口端を緩ませる。

想いは我慢したくない。

好きだと思ったらその場で伝えたいし、かっこいいと思ったから今すぐ伝えたかった。

言っちゃいけない時の方がきっと多いから。

言える時は私の言葉で気持ちをのせて全部隆二に伝えたいんだもの。


「隆二…すき」

「…俺も…」

「だいすき」

「俺もすげぇ大好き…ユヅキ…愛して…うわ、やべ!」


現場から戻ってきた営業車が駐車場に入ってきて。

私達を見て不思議そうな顔で近付いてくる。

隆二の車の横にスッと奇麗に停まって。


「何してんの、お前ら…」


山口さんと仲良しの松岡さんがいかついサングラスを外して近寄ってきた。

車の窓を開けて隆二が「お疲れ様っす」ペコっと頭を下げた。


「ユヅキさん具合悪いんでこれから病院連れてって送ります。自分は今日挨拶回り終わったので」

「お前ら付き合ってんの?」

「え?まさか!」

「ユヅキちゃん今、隆二にキスされそうになってなかった?」


松岡さんの視線が私に飛んできて。

全く隆二の言葉を無視して言われた言葉に冷や汗が背中を伝う。


「なってないですよ!」

「髪の毛に差し込んでたよね、指」


同じように隆二の髪に指を差し込む松岡さん、鋭い。

見てたなら見てたって言ってよ〜。

そう思いながらも首を竦めた私に隆二がポンポンって頭を軽く撫でた。


「あの会社にはまだ言ってなくて、付き合ってます俺ら」


ハッキリとそう言う隆二にドクっと心臓が高鳴った。


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