プロポーズ…?
たぶん一般的にそういうのって、女の方が気にすることなんじゃないかって。
少なからず隆二より年上の私からすれば、この歳で付き合う=結婚って方程式が出来上がる。
それを今後付き合っていく上でどれだけ二人にとって重要なことになるかって…
そうやってみんな結婚を意識していくんじゃないかって思う。
お付き合いの延長線上にあるであろう結婚って二文字を今のパートナーで決めていいものか…
「隆二あの…」
「うん?」
「隆二がそんな風に考えてくれていたなんて気づかなくて。でもすごく嬉しい」
「…ん」
「例えばね…私と隆二がまだ出逢って2か月ぐらいだったとしたら、私はまだ隆二のことをよく分かっていないだろうし、答えも迷うと思うの。でも実際の私達は、付き合ったのは本当に1か月ぐらい前だけど、それまでに一社会人として接してきてる。隆二の仕事する姿だったり人からの信用だったり…そういうのを私は今までちゃんと見てきたつもり。だから…」
ふう…っと息を吐きだす。
どうしてこんなにも私は緊張しているんだろうか。
きっと隣で私を見つめている隆二がすごく真剣で、イエスだけを待っているからだって…
「私も隆二と結婚したいって思ってる…」
小さくでも、ハッキリと彼にそう伝えた。
ほんの少し揺れていた隆二の瞳がカッと見開いて、私をさも愛おしいそうに見つめる。
ニコって微笑んで私の頬を指でフワリとなぞると、「もう一回言って?」…まさかのそんな答えが返ってきた。
一瞬キョトンとしたものの、すぐに全身が隆二と見つめ合っている瞳に集中するようで。
「え…あの…」
「ユヅキの口からプロポーズ…もう一回聞きたい!」
何の悪気もなく隆二がそう言う。
これはプロポーズなの!?
できれば私、隆二からちゃんとポロポーズって分かる言葉を貰いたいんだけど…。
そんな想いが顔に出ていたんだろうか。
パッと目を見開いた隆二は、一瞬眼球をグルリと回して鬚を触りながら「ああそっか」一人納得する。
「あの、隆二…」
「やっぱ男からがいいよね?プロポーズは!」
私を覗き込んでランランとした目で答えを待っている。
「いやその…」
「どんな言葉がいい?いつ言われたい?理想のシチュエーションある?」
まるで質問攻めの隆二に若干の苦笑いが零れる。
恋愛に慣れていそうに見える隆二だけれど、じつは色んなことに疎いのかもしれない…なんてそんな思いが頭を掠めた。
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