甘い朝の一時


体の怠さと喉の痛さで目が覚めた。

昨日、ラブホで目覚めた時とは全く違う幸せな朝。

まだ隣で寝息をたてている直人。

想像以上に分厚くてキレキレな身体に抱かれて少々お疲れだけれど、こんなに幸せを感じる朝は初めてで。

直人の首筋に顔を埋めると「ん〜…」小さな声が届く。

暗闇の中私の肩を抱き寄せる直人は「起きた?」耳元でそう言って私の頬を指で撫ぜた。


「うん、おはよ」

「おはよ、ユヅキ」


ギュっと私を抱きしめてチュっと頬にキスをくれる。


「こっちは?」


唇に指を当ててそう言うとプッて笑って「勿論、いただくよ」そう言った直人が横を向いて私を引き寄せた。

抱きしめられてそのまま甘い唇をチュっと吸われる。

昨夜、何度も何度もされたキス。

でも一晩たった今日はまたもっとしたくて。

どんどん深くなっていく直人のキスに腕を背中に回した瞬間、直人の身体が私の上に被さった。

顔の横に両腕をついてキスを更に深めていく直人の舌は熱くて…

背中の手をさわさわと動かすと直人がキスをしながらクスって笑った。


「エロイって触り方!朝ってだけでも元気なのよ、こいつ」


腰を振ってそれを私につける直人が可笑しい。


「あはは、本当だ!」


ムギュって手で握ると「オフッ!」声を漏らす直人。

そのまま手を動かすと私の上にいる直人が軽く目を細めた。


「あ――そのままそのまま…」

「あはは、もう身体もたないよぉ私!」

「いやいやユヅキちゃん。ユヅキの身体は正直だって」


直人の指が私の太腿を滑ってそこに到達する。


「んあっ…」

「まだ時間ある…」


そう囁く直人。

思わず大きく目を開けて直人を見つめる。

え?今から?

確かにまだ時間はあるけど…――――「無理っ…」そう言った言葉は甘い声に変わって。

スイッチの入った直人とそれからしばらく熱くて甘い時間を過ごしたんだ。

そのまま一緒にシャワーを浴びて二人で直人のマンションのエントランスを抜けた所で、何故か待ち合わせしたかのようにそこにいた啓司が私を見て「はぁ――!?」大声をあげた。


「お前何でいんの?」


超不機嫌に私を見る啓司に腕を引っ張られて耳元で小さく聞かれた。


「隆二じゃねぇのかよユヅキ!!」


啓司の言葉にドキリと胸が音をたてた。






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