繋がった四人の未来
「…直人と喧嘩しちゃって…」
「え?直人くんと?」
「うん…」
頷いたゆきみは唇を噛み締めてまたポロっと涙を零す。
このままじゃ壊れちゃいそうなゆきみをあたしは当たり前にほおっておくなんてできなくて。
「話聞くから。ゆきみの気持ちちゃんと教えて。ね?」
あたしの手をギュっと握りしめるゆきみの背中をトントンっと叩いた。
「隆二のキスが忘れられなくて…。直人とだってキスしたのに、隆二が忘れないで覚えておいて…って言ったのが頭から離れなくてわたし…。直人と一緒に散歩しながらずっと隆二のこと考えていた。だからなんか言われても空返事ばっかしてたら直人が…――隆二のこと考えないでって。でもわたしできなくて、だからできないって言っちゃって…。そしたら直人もういいって怒って…。奈々…隆二のキス、忘れられない。さっきもわたし以外の女に触られてる隆二見て、怒りなのか悲しみなのかよくわからなくなって…―――もうやめたい、こんなの。わたしやっぱり隆二のことが好きなんだって、分かっちゃった…」
やっと繋がったゆきみと隆二にあたしの気持ちもグっと胸にこみ上げてきた。
指で溢れる涙を擦っているゆきみを横からギュっと抱きしめた。
肩を震わせて隆二への気持ちに気付いたことで泣いてしまったゆきみ。
絶対の絶対に幸せになれるって、今度こそ思えた。
やっぱりあたし達は四人一緒じゃなきゃダメなんだって。
どんな形であっても、四人一緒にいなきゃダメなんだって。
初めての恋にあたしもゆきみもどうしたらいいのか迷い傷ついたけど、それでも繋がっているんだって。
あたし達四人の未来に。
「直人くんにちゃんと言おう。ゆきみの本当の気持ち。直人くんのことだからもう気づいてそうだけどね。それでもちゃんとお断りして、それで隆二にゆきみの気持ち伝えよう」
「…直人、」
「大丈夫。うううん、直人くんは好きな人の幸せを願える人だってあたしは信じてる。ゆきみがちゃんと好きになった人だもん。だから大丈夫、あたしを信じて!」
根拠のない自信だって言われたらそれまでだけど、でもあたしにはしっかりと見えるんだ。
四人の未来が。
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