どうしたの?




「ちょっと星見てくる」

「え、ゆきみっ!?あたしも一緒に、」


歩き出したはずのゆきみが固まっている。

何事?って外を見ると隆二が女に抱きつかれていた。

勿論隆二は困ったように女を剥がそうとしているわけで。


「隆二」


あたしの呼びかけに隆二がこっちに気づくと、あたしの前にいるゆきみを目にして慌てて女を剥がす。わりと無理やり。


「ほんとにごめんね」


そう言うと隆二は立ち止まってるゆきみの所に駆けてきた。


「ゆきみ、あの…」

「シャワー浴びる。奈々も行こう」


腕を握られてテントに戻るとゆきみは隆二とお揃いのTシャツを手にしてあたしの手をもう一度引いた。


「ゆきみ、怒ってる?」


そんなあたし達を止めるように隆二がゆきみの手首を掴むと、今度は泣きそうな顔で首を横に振った。

どうしたの、ゆきみ?

今にも涙が零れ落ちそうな潤んだ瞳に隆二も少し動揺している。

だからそっと隆二の手を離してあたしがゆきみを引っ張った。


「とにかくシャワー浴びてくるね。あたしに任せて」


そう言うと、隆二が苦笑いで頷いた。

テントを出てシャワーがある施設に入った瞬間「ごめん奈々…」ゆきみが泣き出した。



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