告白
「せめてゆきみと同じ授業が一つでもあればな〜」
お弁当をしまいながらそう言うあたしにニコって笑みを浮かべるゆきみ。
昔っからゆきみは人懐っこくていつでもみんなの輪の中心にいる子で。
ゆきみの周りには人が寄ってくる…そんな子だった。
人見知りなあたしはいつもそんなゆきみにくっついて色んなことをあやかっている。
あたしと隆二が人見知りなせいか、クラスが別れた時もすごく心配してくれて。
「あっは、わたしも〜!本当奈々がいないと寂しい〜」
コテっと肩に寄りかかってそう言うゆきみが可愛くて仕方ない。
そんなあたし達を見て苦笑いを見せている岩ちゃん。
「仲良すぎない?君たち…」
「……」
はぁ?って顔で。
四人揃って同じ顔で岩ちゃんを見返したら困ったように目を逸らした。
「いや幼馴染でこんなにつるんでるのって、そう見ないもんで…。ゆきみちゃんや奈々ちゃんに好きな人や彼氏ができたらどうなっちゃうんだろうね、君たちの関係って…」
…誰も何も言わずに避けてきたことなのかもしれない。
あたし達四人、幼馴染って枠から誰も外れることなく過ごしてきた。
それが普通で当たり前なんだって。
好きな人っていっても、隆二や臣以上の人なんて今まで誰一人いなくって、だから…
「岩ちゃんどっちが狙い?」
臣の鋭い突っ込みに余裕の笑みを浮かべる岩ちゃん。
視線はゆっくりとゆきみを通り越してあたしへと移る。
ピシって指があたしの目の前で止まって「奈々ちゃん俺と付き合わない?」軽くそんな言葉を繋げたんだ。
パチって瞬きをするあたしをジッと見つめる岩ちゃん。
でもその隣で、ほんの一瞬目を伏せたのはゆきみ。
まさかゆきみ、岩ちゃんのこと…?
「あたし無理!岩ちゃん無理!」
だから口から出た言葉はそんな適当なもんで。
そもそも知らないし、今日初めて会ったのにそんなこと言われても無理だし。
「ぶっ!即答!?」
別に気にしてないって顔で笑う岩ちゃんを苦笑いで見つめるゆきみ。
臣はもう岩ちゃんを睨んでいて、隆二は軽蔑の目で見ている。
「岩ちゃんさぁ、悪いけど奈々もゆきみも俺らのもんだから諦めてよ」
呆れた顔でそう言う隆二の言葉に「マジでっ!?」大きく反応したのは――――直人くん。
ポカンって口を開けてそんな声を発したんだ。
「直人くん?」
「いやごめん聞こえちゃって。付き合ってんの?お前ら」
直人くんの質問に「そうだよ」いとも簡単に臣が答えたんだ。
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