同じ気持ち
―――――眠れなかった。
初めて学校に行きたくないって思ったわたしは、リビングにいるママに「熱っぽいから休む」一言そう告げた。
LINEを開いてわたし達四人のグループ部屋に”風邪っぽいから休むね”そうメッセージを書いてそのままベッドに潜った。
「ゆきみ大丈夫?」
当たり前に心配して顔を見せたのは奈々で。
臣と隆二はまだ寝てるんだって。
やっと奈々と二人きりになって嬉しいけど、わたしを見つめる奈々の顔すらやっぱり沈んで見えて。
「隆二となんかあった?」
そう聞こうとした。
お店に誰も来なかったとしたら、隆二が奈々に何かをしたってことじゃなくて、隆二と一緒にいることで何かあったのかもしれないって。
でも、わたしがそう聞く数秒前、先に口を開いたのは奈々で。
「やっぱり昨日直人くんと何かあったんでしょ?ゆきみの顔見れば分かるよ。臣や隆二には言えないようなことだって…」
ベッド脇に手をついて顔を覗き込む奈々は、そっとわたしの髪を撫でてくれて。
「奈々…奈々も、昨日何かあったでしょ?わたしも分かるよ。隆二じゃない他の誰かと…違う?」
わたしがそう聞くと奈々はほんの少し自嘲的に笑うと小さく頷いたんだ。
そんな奈々を見て思わず笑ってしまって。
奈々と同じ気持ちでよかった…そう思わずにはいられない。
だから臣と隆二が眠っているこの隙に…そう思って口を開いた時だった。
ガラッとベランダの窓を開けて中に入ってくる臣。
寝癖のついた髪のままわたしの所にズカズカ入ってきて。
「大丈夫か?ゆきみ…」
掛け布団を少し持ち上げてわたしの顔を見つめる。
隣にいる奈々の頭をポンッてして「奈々おはよ!」そう笑顔を向ける。
「おはよ臣」
奈々がそう言うとポンポンってして、手を元の場所に戻した。
「ごめんね。ちょっと怠くて。1日休んどく…」
「…薬飲んでゆっくり休め」
頬を包み込むように触れてる臣に目を向けるとジッと強い瞳でわたしを見ていて。
「うん、ありがと。奈々、臣が部活休まないように見張っててね!?」
わたしがそう言うとバツの悪そうな顔で苦笑いをした臣。
だから臣がわたしの為に部活を休もうとしたことなんてお見通しで。
「あたしが早く帰るから大丈夫だよ!臣のことは任せて!」
そう言って胸をトンって叩く奈々に、三人で笑ったんだ。
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