ずっと一緒に




パチっと目が覚めるとそこには子供みたいに口を開けて眠っている隆二がいて思わず頬が緩む。

寝返りをうつとちょうど隣の奈々も起きたのか目が合った。


「ゆきみ、おはよう。眠れた?」

「...奈々、おはよ!ぐっすり寝ちゃった。」


二人して見つめ合ってクスって微笑むと、両サイド、わたしは隆二に、奈々は臣に後ろからギュっと抱きしめられて。

だけど次の瞬間、その手が剥がされた。


「俺らの前で堂々とイチャつくなんていい度胸だな、たく」


言ったのは直人。

隆二の腰に足をかけて仁王立ち。


「ほんとだよ。少しぐらい気使って生きないと、敵つくるよ、あんたら」


冷めた目で臣の腰に座っている岩ちゃんに奈々と二人やっぱり可笑しくて。

二人が気まずくならないようにってしてくれているのが分かる。


「言っとくけど、友達になんてなってやんねぇから!」

「俺も勘弁」


そんな風に言った直人も岩ちゃんも、残りのキャンプをみんなで楽しく過ごしてくれることぐらい分かってる。

そーいう優しさと強さを持った二人だって分かる。

わたしも奈々も、素敵な人を選べなかったんだから、この手を絶対に離しちゃいけないって、そう思える程に。




「ゆきみ、こっちこっち!」

「...え、うん。」


川原で、何故か崖の上に立っている奈々。

そこから川に飛び込むって...

美人な見かけとは想像もできないぐらいアウトドアな奈々は喜んで崖に登っていく。


「早くー!臣も隆二も早く!」

「...お前ほんとに飛ぶの?」


片眉下げて臣が苦笑い。


「うん飛ぶ!みんなで飛ぼうよ!4人一緒ならなんでもできる気がするんだもん!」


奈々の言葉に臣は笑ってわたしと隆二を振り返る。


「だってよ。どーする?飛んでやる?」


答えなんて決まってる。


「わたしも!4人一緒ならなんでもできる気がする!」

「うわ、ゆきみまでスイッチ入っちゃったよ」


隆二が優しく呟く。

崖の上まで行くと、奈々と手を繋ぐ。


「奈々、ずっと一緒にいようね」

「うん。ずっと一緒だよ。大人になっても変わらない」


キラキラ輝く水面を見て振り返ると、わたし達の大好きな隆二と臣がそこにいる。

すごくすごく幸せだと思った。



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