愛が止まらない




隆二が嬉しそうにわたしを抱きしめた。

ずっと欲しかった温もり。

今度こそ何の迷いも、何の躊躇いもなく抱きしめて貰えた。


「ゆきみ、可愛い。ゆきみ、好きだよ。ゆきみ、ちゅーしていい?」


ぎゅ、ぎゅ、って隆二が抱きしめながら小さく耳で囁く。

今の今までいたはずの奈々と臣の姿はそこにはなくて、二人が気きかせてくれたんだって、ちょっと照れる。

だけど止まらない。


「ん。いっぱい、いっぱい、して...」


隆二への愛が溢れて止まらないんだ。

クスって鼻の頭を擦り合わせた隆二は「愛してる」小さくそう言うとわたしの首にかけた手をちょっとだけ強めに引き寄せた。

強烈に隆二の香りに包まれた瞬間、生暖かい隆二の唇がゆっくりと重なった。

離れてはくっついて、またちょっと離れてはくっついて...

何度となく繰り返される隆二のキスは、隆二の愛で溢れていたーーー。




幸せいっぱいで隆二と手を繋いでテントに戻ると、奈々と臣が寄り添って寝ていて。

その隣に隆二と二人寝っ転がる。


「眠れる?」


髪を撫でながら隆二が小さく聞く。

その瞳は優しくて隆二の胸に顔を埋める。

恥ずかしくてグリグリ頭を押し付けるとふわりと抱きしめられる。


「夢でも俺以外の男と逢っちゃだめだから」


触れるだけのキスにコクっと頷くと、また隆二がわたしを抱きしめた。


「隆二いがいいらない...」


そんな言葉と共に深い夢の世界へと落ちていく。

今日まで胸につっかえていたモヤモヤが全て解き放たれた、幸せな眠りだった。




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