▼ やっぱりそうくる…1
「ただいま〜!!」
ご機嫌な声で元気よく玄関のドアを開けた敬浩。
ツアー真っ最中の彼はこの土日、大阪でLIVEをしてきたばかり。
「お帰り!てっちゃん大丈夫なのっ!?岩ちゃんもっ!?」
敬浩の腕を掴んでそう聞く私を見て眉毛を下げて苦笑いをした。
「哲也くん無茶だよなぁ〜。いっつも怪我とか気にしないで飛んじゃうから。でもアキラさんがベッタリだから大丈夫だよ。岩ちゃんもね〜、ぶっちゃけ働き過ぎ?だよねぇ。でもこっちも直人くんがベッタリだから大丈夫っしょ!」
そう言うと、敬浩は真っ直ぐに私を見てニッコリ微笑んだ。
「それで。ユヅキは俺にベッタリしにきたんでしょ?」
スッと伸ばした腕で私を捕まえると、その腕の中にギュっと閉じ込める。
安心できるこの温もりにそっと目を閉じた。
「敬浩が無事でよかった…」
「いや俺ボーカルだし、怪我は滅多にないよね〜」
持前の明るさでいつだって私の方が励まされてしまうほど。
「つーか、情報早いね相変わらず!」
「インスタのコメントでみんな心配してたから…」
メンバーがやってる公式のインスタグラムはコメントも直で書き込みできてそれが目に見えて分かるもの。
それを覗き見しているだけで、今日の彼らがどんなだったのかある程度の予測はつくものだ。
「俺に直接聞けばいいのに、ユヅキは」
「うんでも、敬浩に余計な心配させたくなかったし、集中してて欲しかったから」
「それって愛?」
ほんの隙間を作って私を覗き込む敬浩からはすっごくいい香りがする。
「うん、勿論!」
「じゃあ今の心配も許してやるよ!」
えくぼを見せて笑うと、チュって小さなキスを落とした。