▼ 内戦131@
月に一度の定例会。
いわゆる女子会って奴。
その誘いのメールを面倒だったから社内メールで後輩の朝海ちゃんとハルに送った。
すぐに返信がきたのは朝海ちゃん…――――「ぶっ!!!」なんだこりゃ!!
きたのはいいけどこれ、完全に宛先間違ってるよね?
【むぅ、今すぐコピー室でお仕置きです!ヤキモチ〜!!】
え、朝海ちゃんうちの会社のメンズと付き合ってるの?
【朝海ちゃん!コピー室ってなんだ?】
そう一言返すと、真っ青な顔した朝海ちゃんが慌てて私の席にやってきた。
「ユヅキさん、トップシークレットで!」
「女子会は今夜決行だな!」
「……はい」
「コピー室の男に言っておきなさいな!」
社内恋愛禁止のうちの会社。
でもだからこそ、蓋開けたら結婚しました!って報告がわりと多かったりする。
ゆえにみんな内緒で愛を育んでいるってわけ。
朝海ちゃんの相手はたぶん分かってる。
しかしこんなラブラブしちゃう奴だったとは…
右手の薬指に光っているTiffany & Co.の指輪を見て息を吐き出すと私は削除フォルダ内にある迷惑メールフォルダを開いてそこにメールを送った。
【今夜は女子会だからご飯ごめん!適当に食べてくれる?】
【急だね、珍しい!楽しんでこーい!】
【うん!ありがと!】
緩む頬を引き締めた瞬間、別部署の後輩健ちゃんが私をジッと見ていて。
え?なに?
「あかん」
「は?なに?健ちゃん?」
「あかんわそれ…」
「え?だから、なに?」
「なんでもないっす…」
変な子。
【健ちゃんにあかんって言われた(笑)】
【は?なんで?なにが?】
【分かんない!理由言わないで戻っちゃった。首傾げられたんだけど…】
そこまで送ったら彼のメールが止まった。
電話でも取った?
部署の違う私達が付き合っていることなんて絶対に誰にもバレないだろうって。
最初は隠すことに抵抗すらあったものの、それもいい加減慣れてきて、ここ最近は隠していることを楽しんでいたりする。
とりあえずコピー室が誰なのかを私は席を立って見に行った。