SHORT U | ナノ

 素直にアイムソーリー1

「1人で帰るっ!」



バタンっと助手席のドアを開けて車から降りたユヅキ。

どうってことのないいつもの喧嘩。

喧嘩ってほどでもない、単なる言い合い。

というか、可愛いユヅキのヤキモチ。

仕事する上で女性と話すなってのは普通に無理なわけで。

それは勿論ユヅキも理解している。

だけど今回は急いでいたからちょっと走ってたらぶつかっちゃってフラつく女性を抱きとめちゃった所を偶然ユヅキが通りかかった。

言っちゃえば小さい事故ってやつ。

ユヅキもその場では「大丈夫?」って心配してくれたけど、やっぱりずーっとモヤモヤしちゃってたみたいで。

車で来たから送っていくよってユヅキを帰り際誘ったらブスッとしている。



「わざとじゃないのに妬くなよ?」



つい言っちゃった俺の言葉に思いっきり目を大きく見開いて「酷い!」そう言うと、さっきの言葉。

ユヅキの性格も何もかも分かってて言っちゃった俺、あーどーすっかなあ。

とりあえずエンジンをかけたら振り返って泣き出した。

帰り道も知らないくせに、意地張っちゃうんだから。

もー今すぐ仲直りしてあげようか?

運転席から降りた俺は震えて泣いてるユヅキを捕まえて「ごめん、言い過ぎた」優しく抱きしめた。





「どっちがいい?隆二はバニラでいい?私チョコが食べたいから!」



アイス買ってやるから機嫌直して!って言ったら、すぐそこにあったコンビニに連れてかれた。

はしゃいでいるその瞳はまだ濡れていて、何の迷いもなく俺に笑顔をくれるユヅキ。

なんかそんなユヅキを見ていたら何もかも許せちゃうわけで。

ほんっと表情がコロコロ変わって見てて飽きねぇなー。

俺の腕に絡み付いてアイスを三つも四つも買おうとしているユヅキの頭をポンポンと撫でると、「ん?」なんて笑っていて。

あーやべ、その顔、チューしてぇ。




「全部買ってあげるから」



そう言うと喜んでぴょんぴょんその場で足踏み。

レジでユヅキに財布を渡すと「わーお金持ち!」なんてまたはしゃぐ。

ヤキモチ妬きなくせに俺を見せびらかしたい願望があるのかバイトの学生が俺らをチラチラ見ているのを誇らしげにしていて。

ユヅキの肩に腕を回すとそのまま車に直行した。

助手席に座るユヅキの頬に触れる俺をジッと見つめていて。

おデコをくっつけると「りゅーじぃ」甘えた声を出した。

その瞬間ユヅキを引き寄せてキスをした。

やっと触れられたその唇。




「このまま俺ん家連れて帰っていい?」

「うん!離れたくなぁーい」

「離さなーい!」




ギュッと抱きしめてもう一度ゆっくりと甘いキスをした。

ほんっと可愛いヤツ。





*END*
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