▼ 不器用な恋1
「協力して欲しいんだけど…」
同期のユヅキが真剣な顔でそう言ってきた。
二人っきりで飲みに行こう!言うから無駄に期待しとったらそんな言葉を投げられて。
「協力?」
俺が怪訝に聞き返すと、個室やっていうのに声を潜めて続けたんや。
「健ちゃんとこの岩田くん…。取り持ってくれないかな?」
あーそういうこっちゃね。
はいはい、ようあることよ、これも。
俺の仕事のうちやって。
「まぁええけど…随分と大きくでたな?」
「え?」
「せやって、岩ちゃん新社人気ナンバー1やで。ダントツぶっちぎりの1位やん」
「分かってるよ。だから健ちゃんに頼んでるんじゃん!」
「まぁそやな。今から呼ぶか?」
「えっ?無理無理!待って、心の準備が…。今日はダメ。勝負パンツじゃないし…」
目の前で慌てふためくこいつも、好きな男の話題だとこんなにも乙女になるんやって。
いつも男張りに仕事しとるからちょっと意外やった。
「さすがに初対面の女持って帰らんやろ、岩ちゃんも…」
「持って帰られなきゃダメでしょ!ぐらいな勢いでいきたいの!」
「…よう分からへんけど…。ほな予定聞くからいつがええのん、お前は…」
スマホを出してそう聞くと笑顔で答えたんや。
「金曜日!」
「了解」
そうやって、俺はこの同期の恋を応援することになった。