SHORT U | ナノ

 不器用な恋1

「協力して欲しいんだけど…」



同期のユヅキが真剣な顔でそう言ってきた。

二人っきりで飲みに行こう!言うから無駄に期待しとったらそんな言葉を投げられて。



「協力?」



俺が怪訝に聞き返すと、個室やっていうのに声を潜めて続けたんや。



「健ちゃんとこの岩田くん…。取り持ってくれないかな?」



あーそういうこっちゃね。

はいはい、ようあることよ、これも。

俺の仕事のうちやって。



「まぁええけど…随分と大きくでたな?」

「え?」

「せやって、岩ちゃん新社人気ナンバー1やで。ダントツぶっちぎりの1位やん」

「分かってるよ。だから健ちゃんに頼んでるんじゃん!」

「まぁそやな。今から呼ぶか?」

「えっ?無理無理!待って、心の準備が…。今日はダメ。勝負パンツじゃないし…」



目の前で慌てふためくこいつも、好きな男の話題だとこんなにも乙女になるんやって。

いつも男張りに仕事しとるからちょっと意外やった。



「さすがに初対面の女持って帰らんやろ、岩ちゃんも…」

「持って帰られなきゃダメでしょ!ぐらいな勢いでいきたいの!」

「…よう分からへんけど…。ほな予定聞くからいつがええのん、お前は…」



スマホを出してそう聞くと笑顔で答えたんや。



「金曜日!」

「了解」



そうやって、俺はこの同期の恋を応援することになった。


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