SHORT U | ナノ

 シュガーラブ1

「えみ、えみ!帰り原宿行かない?新しくできたクレープ屋さん、食べたくない?」

「うんうん!同じこと思ってた!よし決まり、行こう!」



テスト期間中の俺達。

普段部活をしている俺達はこの期間はテストだというのに放課後街に繰り出すことが多い。

数学のテストを終えて、最後の英語のテストを前に同じクラスのユヅキとえみちゃんがそんな話をしている。



「プリクラも撮ろうよ、プリクラ!」

「うんもちろん!」



クレープにプリクラかぁ、俺も一緒に食って撮りたいなぁ…

言えばいいのにそーいうのって女子特有って感じで何となく言えなくて。



「クレープ食うの?」



俺の後ろに座っている敬浩くんが不意にそんな言葉を2人に飛ばした。



「え?うん。敬浩も行く?」



言ったのはえみちゃん。

敬浩くんが狙ってるってこの前話してた。

チャンスは逃さないってわけね。

えみちゃんも満更でなさそうだし。



「うん、行く!直人くんも一緒に4人で行こうよ?」



後ろからトンって肩を小突かれて「え?」振り返った瞬間ユヅキと目が合った。

キョトンと俺を見ているユヅキは前髪を編み込んでおデコ全開ですごく可愛い。

手先が器用なのか、色んな髪型をしていてお洒落だった。



「直ちゃんも行こう?」



敬浩くんに続いて俺を誘ってくれたユヅキに内心ガッツポーズ。



「行きますか!4人で!」

「決まり!」



Wデート結構ってわけだ。



英語のテストそっちのけで色んなプランを頭に浮かべた。

プリクラとか男同志じゃあんま撮らねぇしなぁ。

ユヅキとツーショットとか撮っちゃうわけ!?

くー!!

クレープはあれか?アーンか?

俺の唇についた生クリームをユヅキが指で取ってペロって……

やば!!!

下半身やば!!!

堪えろ、俺!

神経を集中させて英語のテスト用紙に視線を移す。

今更ながら時計を見て、慌てて問題を解いていった。



そう。

俺の好きな子はユヅキ。

同じクラスになって喋ったら、よく笑う子でその笑顔がすげぇ可愛いなーって。

持ち前の明るさで色々話しかけるうちにユヅキも人懐っこい性格なのか色んな話をしてくれるようになって。

やっぱり気持ちは変わらなかった。

むしろ日に日に大きくなっていったんだ。


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