▼ オンリーワン1
【時間空いた。今日逢える?】
就業間際、LINEに入ったメッセージを見て胸が躍る。
自分でも馬鹿だって分かってる。
意味のない…未来のない付き合いをどれだけ続けたとしても幸せなんてこないって。
それでも一緒にいる時はどんな時間よりも幸せを感じられる。
大好きだって思える。
――例え私が、二番目の彼女だとしても。
急いで帰り支度をして会社を飛び出す。
元々お得意様というか取引先の営業さんで。
たまたま受付に回された時に声をかけてきたのが岩ちゃんだった。
見事なルックスと男らしい性格…
とてもじゃないけど好きにならずにはいられなかった。
だから彼に彼女がいると知ってもこの気持ちを止められるわけもなく。
「彼女いるけど付き合う?」
まるで冗談みたいに、「これから飲みに行く?」ってサラリと言われるぐらい自然とそんな言葉を私に投げた岩ちゃんにほんの一瞬迷いながらも気づくと私は頷いていた。
そんな風に始まった私と岩ちゃんの関係。
逢えば逢うだけ好きが募っていくけど、口にできない想いも心の奥底で増え続ける。
―――私だけを見て。
―――私を一番にして。
―――彼女と、別れて。
親友にも同期にも言えない独り言が日々募っていくのを感じていた。
「どうしたの?今日元気ないね?」
ベッドの中でそんなことを聞かれて嬉しくなった。
普段は二番目でも、今は岩ちゃんは私だけの岩ちゃんで。
些細な変化にもちゃんと気付いてくれる。
それだけでいいって思っちゃう。
十分だって、思っちゃうよ。
「そんなことないよ。岩ちゃんに逢えてすごく嬉しいもん」
「後で風呂一緒に入ろう?」
「うん!」
「俺も…えみに逢いたかったよ」
その言葉、嘘じゃないよね?
本心だよね?
私の首元に顔を埋めて舌を這わす彼に、身体の力を抜く。
身体の相性だけで言うなら彼は最高で。
うまいか下手かでいえば、当然うまくて。
でもそれだけじゃなくて、私の気持ちいい所を探り当てるのが上手だったんだ。
甘い舌を滑らかに身体の下へと滑らせていく。
自然と呼吸もあがる私の足をゆっくりと開かせてそこに顔を埋める。
吐息を零しながらもその舌を私の中に入れられるだけで身体の中に一本の線が刺さったような快感に襲われる。
「えみ、声だして」
ギュっと下から指を絡ませて喘ぐ私を煽る岩ちゃんの言葉に、いっそう声をあげて気持ちを繋ぐ。
「岩ちゃん好き…大好き…」
昇天する時だけそんな甘い言葉を発する私に、岩ちゃんの舌が心地よい突起をグリっと刺激して頭が真っ白になった。
「えみ…好きだよ」
私も、大好き。