▼ 今しかない!1
その噂を耳にしたのは事が起こった一週間後のことだった。
「エリーどないなっとんねん、お前ら!」
「え?どないって?」
親友の健ちゃんが俺を見て黙っていればイケメンなその顔を歪めた。
一年の時に同じクラスになって以来ずっと健ちゃんとは気が合って仲良くしている。
キョトンとした俺を見て健ちゃんが肩に腕を絡ませて耳元で言うんだ。
「ユヅキちゃん、信五に告られたらしいやん!確かに信五ずーっとユヅキ、ユヅキ言うとったけど…ええんか?」
別に煽ってるとかそういうわけじゃないって分かってる。
だけど俺には焦りしかなくて。
幼馴染のユヅキは小さい頃からずっと一緒で。
中学も高校も一緒。
この先もずっと変わらず傍にいるもんだって思ってた…――「よくない…」想いを言葉にすると、どうしてかそれがすごく大きなものに変わる。
ずっと秘めていたユヅキへの愛。
今更ながら俺はユヅキを誰にも渡したくないって思うんだ。