▼ 101回目3
無事にドルフィンキッスを貰ったあたし達はまた手を繋いで水族館の中に入った。
お腹が空いたからって、隣接されてるレストランの中でランチを取ってまたここに戻ってきた。
「お土産買ってこうな」
そう言ってまた込み合っている人混みに紛れて行くあたし達。
「やっぱりイルカかなぁ〜。このストラップ、キーケースにつけれそう…」
二匹のイルカが持っているハートごと分かれていて、くっつけると一つになるっていう定番っちゃ定番なんだけど、ドルフィンキッスをうけたあたしとしてはやっぱり思い出に残るものが欲しくて。
「今日の記念に買おうぜ」
「うんっ!」
アキラも同じ気持ちだって思っていいんだよね?
そう思うだけで嬉しくて、繋がれた手を少し強く握りしめた。
「ユヅキあ〜ん」
「え…」
「いいから」
帰り際、車に乗り込む前にアキラがソフトクリームを買ってきてくれて、最初に一口大きく食べた後、あたしの前にそのまま差し出した。
間接キスが慣れてないとかそーいうんじゃなくて、アキラとって思うだけで緊張しちゃって。
勿論付き合ってるからキスだってそれ以上だって普通にするけど、その度にあたしは一々緊張している。
こうやって一緒にいるってだけで、毎日があたしにとっては奇跡みたいなもんで。
今までずっと「運命」だって思える相手に出逢えなかったこのあたしが、アキラを一目見たあの瞬間から「この人以外いない」ってそう思えるくらいの人で。
大好きなアキラがあたしの為に色々してくれることが嬉しくもあり、常に感動なんだ。
ソフトをパクって一口食べると口の中いっぱいに甘さが広がる。
「うまい?」
「うん」
「もう一口食って」
「…ん」
目の前にあったソフトにパクついた瞬間、クイってアキラの手があたしの顎に触れて顔ごと向きを変えられる。
同時にチュって甘い音。
ソフトクリームと混ざってアキラの舌があたしの舌に絡まり合う…―――
「うまさ倍増したろ?」
「…うん」
「んじゃそれ後はユヅキにやる」
「…うん」
ありがとう…。
もうもうアキラずるいよ!
ドルフィンキッスの後は、ソフトクリームキッス…
ドキドキして顔が熱い。
隣でエンジンをかけたアキラがポンポンってあたしの頭を撫でる。
「ユヅキのその照れた顔…今日101回目。俺その顔すげぇ好き…」
フワって目を細めて笑うアキラ。
大好きなその顔…―――あたしも数えてたんだよ。
「アキラの目細めて笑う顔も、101回目…。大好きっ!」
ソフトを持ったままアキラの首に抱きつくと「うわっ!!」ってアキラの吃驚した声があがる。
バカップルだって思われたって構わない。
誰にどう思われたってあたしとアキラの想いは勝てないんだって…。
―――あたしを受け止めるそのたくましい腕を、一生離さないからね。
*END*