SHORT U | ナノ

 紅い痕2

ガチャ…音がして顔を上げると、


「出掛ける…」

「え、その格好で行くの?」

「そうよ、悪い?」

「いや、可愛いけど…ココちょっと開きすぎじゃない?」


胸が思いっきり開いたニットワンピ。

身体の線が思いっきり出ているそれと真っ赤な口紅。

普段リップしか塗らないユヅキが真っ赤な口紅をつけるだけで、正直エロイ。

そんなセクシーな服装だってほとんどしないし…思わず生唾をゴクっと飲み込んだ。


「わざと開けてるの…」

「なんで?」

「好きでしょこういう格好…男なんて」

「まぁ好きだけど…俺としてはそーいうユヅキちゃんは誰にも見せたくないよ」

「知らない、紅い痕つけてる奴なんて!」


そう言われても嫌なもんは嫌で。

靴箱の中から何センチなの?ってくらい高い黒いピンヒールを出してくる。


「待ってって…謝るから俺が。これキスマークじゃないって。分かるよね?蚊に刺されたんだよきっと…ね?」


手首を掴んでユヅキの動きを止める。

無言で止まったユヅキを後ろからギュっと抱き締める。


「俺が好きなのはユヅキちゃんだけだから、それ俺の前以外で見せないで…」

「…本当に蚊に刺されたの?」

「うん、本当!そういやすげぇ痒い!」

「…本当に本当?」

「ホント!」


黙りこくったユヅキをクルリと反転させてフワっと正面から抱きしめた。

ギュっと強く…

無言だったユヅキが小さく息を吐くと、そっと俺の胸元に顔を埋めた。

そのままチュって音がして…俺の胸元についたユヅキの真っ赤な口紅。

それを見てニッコリ微笑んだ俺に背伸びをして首に腕を回した。

背中に腕を回して強く抱きしめる俺から少しだけ距離を取ると、そのまま俺の頬を手で包んでキスをする。


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