SHORT U | ナノ

 海デート2

「沈んじゃったね、太陽…」


目を開けると、そこは暗くて。

大きな海が音を立てて唸っている。

黒い夜があたし達を包み隠してくれるんだと。


「風邪引くなよ〜」


臣が手を繋ぎながら海から上がってバイクに行く。

椅子を開けてそこからタオルを取り出すと、しゃがんであたしの足を奇麗に拭いてくれた。


「シンデレラみたい…」

「シンデレラよりもユヅキのが奇麗だよ」

「ほんと?」

「俺にはな」


あたしを見つめてえくぼを見せる臣。

ギュっと上から抱きついた。

勢いよく抱きついたからコロって二人で転がって…


「危ねぇってもう!」


だけどしっかり受け止めてくれる臣に更に強く抱きついた。


「臣〜大好き」


あたしが言うと下にいた臣があたしの腰にかけた腕を引いてクルって上に乗っかった。

「好き」とか「愛してる」とか滅多に口にしない臣だけど、いつだって態度で大きな愛をあたしにくれる。

だから不安になったことなんて一度もない。

両頬を手で包まれてそのまままた小さくキスを交わす。


「臣〜…止まらなくなるよ?」

「…だよねぇ」


ムクって起き上がって背中についた砂を取り除く。


「飯行く?」

「うんっ!」

「何食いたい?」

「海鮮とか…」

「了解!デザートは?」

「え?」

「そのまま俺ん家でデサートも食おうぜ」


ヘルメットを装着してあたしを抱きあげて後部座席に座らせる臣。

自分もメットを被るとポンポンって優しくメット越しにあたしを撫でた。


「デザートはお約束だよね」


そう呟いたら、臣がブオンっとエンジンをかける。

ほんの一時だけど、夕陽が見える海にあたしを連れてきてくれた臣。

今夜のデザートはハチミツたっぷりの甘いのにしてあげるね☆




*END*
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