▼ 秘密のレッスン1
「あ〜もうっ!!俺はどーすりゃいんだよおおおおー」
机に伏せって頭を抱える。
そんな俺の肩をポンッと叩いたのは親友の哲也。
「直人まだ悩んでるの?」
軽々しくそんな言葉を発せるのは、哲也がイケメンでモテるからだっつーの。
「まだ悩んでるよっ!」
大声でそう叫ぶと教室中の注目を浴びる。
浴びた所で今はどーでもいい。
つーか、どーすることもできずにいる。
「ヤリたいって言えばヤラせてくれるんじゃないの?」
「ばっか、別にヤリてーわけじゃねぇわっ!!」
「またご冗談を。今更いい人ぶってもダメだって」
マジでそんな単純なもんじゃねぇんだよ、俺とユヅキさんの関係は。
「こんにちは!直人くんお邪魔します」
「あ、どうぞ!」
「あれー?今日ご両親は?」
ギク…。
俺は冷静を保ちながらユヅキさんから目を逸らした。
「じつは仕事で二人とも海外で。兄貴達もたぶん今夜は帰ってこなくて。あの、一緒に飯…食ってくれませんか?」
視線をユヅキさんに移すとキョトンとした顔で俺を見ていて。
「ありゃ2人きりか!私料理そーんな得意じゃないんだけど、いいかな?」
ユヅキさんの言葉に聞いた俺の方が固まっちゃいそうで。
「え、あの、いいんっすか?」
「寂しいんでしょ?1人だと。いいよ私一人暮らしだし別に!」
「あっじゃあ是非っ!」
ガッツポーズを隠して俺は会心の笑みをユヅキさんに届けた。