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クスって電話越しのナオトの笑い声。
【お前、ほんっと可愛いね】
思った通りだった?
私の気持ちなんてお見通しだった!?
いつだって私のこと分かってくれるナオトだから、きっとこの短冊も分かっていたのかもしれない。
でも現実話、無理なことは無理で。
仕事で疲れたナオトにこんなこと言っちゃいけなかったかな…なんてちょっとだけ後悔した。
「ごめんね…」
【何で?】
「だって無理でしょ。分かってるつもりなんだけど…心のどこかではやっぱりナオトに逢いたいって思っちゃってて…こんな風に我儘言いたくないんだけど本当は…――ナオトの優しさにいつも甘えちゃう…」
【待った待った、ストップ!】
―――え?
【それ以上言うなよ。電話じゃ物足りねぇよ…】
うん。
私もそう思う。
こんなに傍で声がしてナオトの息使いまで聞こえるけど、やっぱり触れ合っていたい。
私のことギュって抱きしめてて欲しい…。
「…逢いたい…」
想いに乗せて自然と口を告いで出た言葉。
【俺も、逢いたい…】
そう言ったナオトの声…
ベランダの私の耳にはスマホから勿論聞こえた。
でも―――「…うそおっ…」ジワって簡単に涙は溢れて。
柵の下、スマホを耳に当てながらこっちを見上げているナオトがそこにいた。
【言ったろ?平成の彦星は逢いに来るって…】
大好きな笑顔がそこにあって。
でも嬉しさと吃驚したのとで、涙が止まらなくて…
コクっと頷く私を見て「ただいま、ユヅキ」ナオトの優しい声が私に届いた―――