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臣の腕が強く強く私を抱きしめる―――
叶わないと思っていたこの気持ち、臣が受け止めてくれて嬉しい。
「好きだよ、ユヅキ…」
「うん…」
「めっちゃ好きだよ、ユヅキ…」
「うん…」
「すげぇ好きだよ、ユヅキ…」
「うん…」
「いや、言えよユヅキも、好きって…」
胸元に顔を埋めていた私の頬に手を添えて無理やり視線を絡ませた。
絶対頬っぺた潰れて不細工になってる!!
って思うけど、それすら恥ずかしくて言えなくて…
「さっき言った…」
「はぁ?今は?」
「…だから恥ずかしいってば…」
「いやいや、意味分かんねぇ。俺甘甘なのが好きなの悪いけど!一日一回好きって言ってくれねぇと、不安になる…」
え、何この乙女な男…
若干苦笑いをする私を見て不満気な表情の臣。
「だって苦手なんだもん、そういうの!」
「克服しろよ!手伝ってやるから」
「え、いいよ。臣に言われるのは嬉しいけど、私には求めないで!」
「はぁ?言ってんのこの口…?」
「な…」
――――なによ。って言葉は臣の唇に飲み込まれた。
ほんのり温い臣の唇が私の唇をなぞって…
ギュって背中に回された腕で更に私達の距離を縮めながらも何度もキスを繰り返す。
月明かりの下、私と臣の幸せな時間。
想いを言葉にするのは苦手だけれど、臣が手伝ってくれるんなら克服もできるのかもしれない。
「好きだよ、ユヅキ…」
ひとしきりキスを終えて臣が小さく耳元でそう囁く。
背延びをして私も臣の耳元で…「私も…」そう言ったら臣が嬉しそうに笑った。
その笑顔が見れるなら、これから先もきっと私は臣に「好き」って伝え続けられるんじゃないかって…――――そんな気がする。
他の誰でもない、臣とだったら。
*END*
Special Thanks Love MIZUKI