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――――――
「ユヅキ、大丈夫!?」
しばらくするとゆきみさんの声。
コンコンって個室のドアがノックされて。
「うう、ゆきみさぁんっ!」
ドアを開けて目の前のゆきみさんに飛び着いた。
「わ!」って吃驚しながらも私を受け止めてくれるゆきみさん。
泣いてる私を見て「土田が何かした?」ポンポンって背中を撫でてくれる。
「うううう、もう分かんないですっ…」
泣きながら私は入社してすぐ臣に告白されたことと、今哲也さんに告白されたことを話した。
自分の本音も交えて。
「素直じゃないんだから…」
ゆきみさんが最初に言った言葉にまだ涙が溢れてくる。
「だって何か悔しくて。みんなが登坂くん、登坂くん言ってて…。私はその前から臣のこといいな…って思ってたのに…」
「社内報に載ったもんね、隆二くんと二人で。お姉さん達も可愛いって騒いでるもん、今だに。人懐っこいし、臣くん。それで…」
ふう〜って息を吐きだすと、ゆきみさんは私を真っ直ぐに見つめて。
「どうするの?てっちゃんに慰めて貰う?それとも失恋覚悟で臣くんに本音を伝える?」
答えの出せない私に選択肢を与えてくれたゆきみさん。
でも…――――今更言えない、臣に好きだなんて。
だけど、哲也さんにいっても、臣以上の気持ちなんてきっと持てない。
そんなの哲也さんに失礼だし。
「まぁ、そうやって素直になれないユヅキも可愛いんだろうけど、あいつら…」
「どうしよう…」
「とりあえず戻らないと、ユヅキがリバースだって思ってるだろうし、主役がいなきゃ盛り上がらないでしょ?」
「哲也さんの隣は…怖いです」
「あっは、怖がられちゃったよ、天下の土田が!!分かった分かった、私がユヅキの隣行くから」
「すみません…」
「いいから、早く行くよ!」
何故かルンルンなゆきみさん。
顔を洗ってちょっとだけ腫れぼったい目をどうにか誤魔化しながら飲みの席に戻った。