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―――その日私達は物凄い土砂降りにも負けないくらいの熱くて甘い夜を過ごした。
「わー奇麗!」
そんなことがあったあの夜から二週間後。
花火大会がちゃんと開催されて。
二人で浴衣を着て空にあがる大きな花火を見ている。
グレーの渋い浴衣を着こなす大輔さんは、ちょっとチャライ所もあるけれど、私にとっては最高の人で。
「ユヅキ、あ〜ん」
そう言われて大輔さんの方を向くと、先程露天で買ったフランクフルトを差し出していた。
「あ、いただきます」
パクっとそれに噛みつくと「エロッ…」何を血迷ったのか、そんな発言。
それ意識してるからエロく見えるんだって!
ゆえに大輔さんがエロイんだ!って、言いたいけどアツアツのフランクが私の口いっぱいに広がっていて言えない。
涙目で訴える私を見て更に「うわーその涙目とかそそるから後でにしてね」…私のせいにされた!
ゴックンって飲み込むと「大輔さんっ!」私がそう言うのと「いただきます」彼がそう言う言葉が重なって…ついでに言うなら私達の影も重なっていて…―――
借りてきた猫みたいに静かにその温もりを感じていた。
誰も私たちのことを見ていないって分かっているけど、やっぱり路チューは恥ずかしい。
それでも大輔さんに愛されているのは私だよ!って大声で叫びたいくらいに愛が溢れていて。
花火に紛れて何度も軽くキスをして過ごしたんだ。
あの日雨じゃなかったら、また違う私達だったのかな?
たまには雨もいいよね☆
*END*
Special Thanks Love EMI