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「お邪魔します…」
遠慮がちに言う私を紳士に奥のリビングへと誘導してくれる眞木さん。
初めて入る眞木さんの部屋に、いつも眞木さんから香る香水が充満していてそれだけでドキっとする。
「座ってて。飯準備するから」
「いえそんな、悪いです!私もお手伝いします」
「礼儀正しいんだね、ユヅキちゃん。でもいいから、今日は俺のお客さんだから寛いでてよ」
「でも…」
「それとも、先にあっち行っちゃう?」
たぶん寝室であろう部屋のドアを指差してそう言う眞木さんに慌てて首を横に振った。
とんでもねぇ…。
勿論そのつもりでのこのこ着いてきたけど、それはいわゆる眞木さんが好きだからだ。
身体だけの関係を望んでるなんてこと、ないよね…
「ごめん、冗談!そんな不安そうな顔しないで」
ポンポンって頭を優しく撫でた眞木さんは、そのままギュっと私を抱きしめてくれた。
その温もりが温かくて安心できて…
「眞木さん…好き」
気づいたら気持ちが溢れて止まらなかった。
分からないけど、「好き」って口にしたら泣きたくなって。
「そうだといいな〜って俺も思ってた。でもちゃんと裏とってあるからちょっと安心してたけど…」
「…え?裏?」
顔をあげると眞木さんはちょっとだけ申し訳なさそうに、でも嬉しそうにハニかんでいて。
「うん。ゆきみちゃんに聞いちゃった。ユヅキちゃんが俺をどう思ってるのか…」
「え、ゆきみに?な、なんて言ったんですか、ゆきみ…」
「そのまま…”はい”って!」
あの野郎!!
笑顔で手を振っているゆきみが浮かんだものの、それはきっと眞木さんの気持ちを先にゆきみに伝えているんだろうって。
じゃなきゃ私の気持ち言うわけないって。
あでも、B型だから危ないな…まぁ、いいか。
「ゆきみってば…」
「はは、でも俺からちゃんと言わないと許さないって!飛び蹴り食らわすって…。だからって訳じゃないからね?」
そう言って眞木さんはニッコリ微笑んだ。
うんもういい。
今が幸せならむしろ何でもいいの!
「はい…」
「ユヅキ」
「はい」
「俺と付き合って欲しい」
「はい」
「絶対に幸せにする」
「…はい」
鳥肌たちそう。
眞木さんが滲んで見えるのは私の感情が溢れているからで。
「好きだよ」
甘く囁いた眞木さんは、そのまま私に覆いかぶさるみたいにキスをくれた――――