▼ 面倒くさい奴*6
「な、んの、話し?」
とりあえず惚けてみると、健ちゃんが残念そうに溜息をつく。そんな顔、しないでよ。
机にぽこって座ると胸ポケから煙草を取り出して火をつけた。白い煙が私たちの間に流れては消えていく。
無言のまま一本吸いきった健ちゃんは、おもむろに息を吐き出した。
「西田とはなんもあらへんよ。」
亜芽ちゃんのこと、弁解しているけれど。
「ラブラブ写真がインスタにあがってたわよ。」
「たまたまや。別にラブラブちゃうわ、あんなん。」
「でも、肩組んでた。」
「...写真撮る言うたらくっつくやろ、」
「肩組まないもん、私は。」
「まぁ確かにユヅキちゃんはそないことせえへんかもな。悪かった。」
え、なに?なんで謝った?なんか怖いよ健ちゃん。
「陣にブーブー言うてたこと、全部直で俺に言えや?次からは。」
「...待って!陣くんに何聞いたの?」
回答次第では陣くん許さないんだから!
「何って、決まっとる。ユヅキちゃんが西田に妬いてるって。」
坂本―――――――!!!!!!
「いやまぁ、分かっとったけど。けど俺かてユヅキちゃんの気持ちを大事にしたいねん。」
一歩、ゆっくりとこちらに近づく健ちゃんに後退りする。それが気に入らなかったのか、また一歩、二歩、とこちらに歩を寄せる健ちゃんに、後ろに下がろうとしたら「逃げんなや。」って言われた。