▼ 2
「今日は一日雨の予報です」
朝の天気予報士のミクちゃんが可愛い笑顔でそう言った。
分かってたけど、分かってたけど…――――勘弁してよ〜。
「やめええええ―――!!」
空に向って叫ぶ私に「うるさいよお姉ちゃん!」妹が寝ぐせのついた前髪を抑えて顔を見せた。
「だって雨だよ…。花火大会は?」
「そりゃ中止でしょうね…」
「あり得ない〜眞木さぁ〜〜んっ!」
思わず口を告いで出た言葉に妹が目を大きく見開いた。
「誰、マキさんって!?会社の人!?」
「…そう」
「お姉ちゃんの新しい彼氏?年下の岩ちゃん可愛かったけど、不安で泣いてばっかだったもんねぇ〜お姉ちゃん。マキさんは大丈夫なの?」
マシンガンみたいにそう聞かれたけど…傷口に塩を塗るのはやめてほしい。
別れた元彼を思い浮かべて若干の苦笑い。
でも仕方ない。
人生には「好き」って気持ちだけじゃダメなことがいっぱいある。
そして、「好き」って気持ちが大きすぎて自分の本来の気持ちが見えなくなってしまうこともあるって…剛典に出会って知った。
同じ過ちをおこさないように心掛けるものの、できる自信は全くない。
私がもっと大人だったら別れずにいた?
今更何をどう思った所で一度離れてしまった剛典は戻ってこない。
でもそれでいいんだって。
眞木さんと出逢う為だったんだって…―――せめて思いたいよ。