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「陸ちゃん、朝だよ。」
「うーん、もうちょっと。」
ボーカルのくせに筋肉こんなつけちゃって。でも鍛えているだけあって、歌って踊っても息切れしないで歌えてる陸ちゃんはやっぱりすごいと思うんだ。
先にシャワーを浴びようって、ホテルに備え付けのバスローブを羽織ったら陸ちゃんが起きて追いかけてきた。
「だーめ。俺も一緒に浴びる。」
「えー無理!明るいところで見られたくないよー!」
「なんでよ?俺彼氏だよ、マイコの!全部見ちゃったし、恥ずかしくないって。」
「恥ずかしいー!」
「えー洗いっこしたーい、俺!ね、ね、ね、」
ぎゅうぎゅう抱きつく陸ちゃんに負けて結局イチャイチャしながらシャワーを浴びた。
「髪、乾かしてあげるよ!ほらおいで。」
椅子に座らせて後ろからドライヤーをかけてくれる陸ちゃん。人にドライヤーかけてもらうのってなんでこんな気持ちいいの?ってくらい手裁きが良くて。
手先が器用な陸ちゃんは、普段もメンバーのヘアーセットをしているから手慣れていた。
だけど。
ふわりと髪をあげられて、えっ!?思わず鏡越しに陸ちゃんを見ると、私の首にネックレスを付けていて。
「渡しそびれちゃってごめん。絶対似合うと思って。...うん、やっぱ似合う、可愛い!」
普段さほどアクセサリーをつけない私でも、首についたそれは可愛くて。お洒落な陸ちゃんのセンスあるプレゼントにただただ感動してしまうんだ。
「ありがとう、陸ちゃん。」
「お揃いのピアスもあるの。つけていい?」
「...うん。」
見ると、陸ちゃんの耳にも同じタイプのピアスが既にはめてあって。
「翔吾とかやましょーとかにバレないようにね!」
「え!?なんで?」
「俺が妬くから。だってあいつらマイコに構うんだもん。」
「え、そう?」
「そうだよ。ね、こっち来て。」
ギュッと抱き上げるようにベッドにまた私を押し倒す。
「俺のもんだからな、マイコ。」
そう言った陸ちゃんは、ネックレスの下、赤紫色の華を二つ咲かせた。
当たり前に朝海ちゃんとゆき乃さんにからかわれることになるんだろうって思ったけど、陸ちゃんの心地よいキスは、媚薬混じりの麻薬のようで、きっと私は一生逃れられないんだと思えたんだ。
陸ちゃん、大好きよ。
*Happy Birthday to MAIKO*